射水市新湊博物館/高樹文庫「石黒信由関係資料」

石黒信由関係資料

1「高樹文庫」のあらまし

① 「高樹文庫」の概要
 越中国射水郡(現富山県射水市)高木村に生まれた石黒信由、信易、信之、信基、北本栗による和算、西洋数学、天文・暦学、測量術、絵図作製などに関連した江戸時代後期の歴史資料は、総称して『高樹文庫』とよばれています。
 高樹文庫は、大正9年5月に設立した高樹会(昭和6年1月財団法人設立認可)が所蔵する12,000点余に及ぶ資料群で、昭和34年に富山県重要文化財(現富山県指定文化財)に指定されました。同59年6月には、うち2,051点が「石黒信由関係資料」の名称で国指定重要文化財に指定されました(追加指定などがあり、現在は3,764点)。
 平成10年10月より新湊市博物館(現射水市新湊博物館)に寄託、保存されるとともに常設展示などで活用されています。
 
② 「高樹文庫」の特徴
 高樹文庫は、著述稿本類、文書記録類(一紙文書、冊子類)、絵図類、測量器具などからなる歴史資料です。
 石黒信由以下4代の著書・編書、写本など(著述稿本類)が数多く残されており、そのなかでも和算書は全国屈指の質と量を誇ります。
 測量術に関する資料は、明治以前のわが国の科学技術の水準、発展を示す資料として、高い評価を受けています。
 信由は、高度な和算・西洋数学の知識と測量術により、加越能三州(現在の富山県・石川県)の正確な絵図を作製しました。同時代では伊能忠敬の地図にも劣らない水準です。信由の作製した原図は、信易、信之、信基がそれぞれ校正、加筆、訂正しており、明治時代の県地図にも引き継がれていきます。
 高樹文庫資料は、現地の測量記録をメモした野帳や日記(冊子類)、持ち帰った記録を絵図化した下絵図、着色して完成させた清図といった測量から絵図作製までの制作過程が明らかとなる資料です。
 絵図は、加賀藩の領国支配、新田開発や用水開削の計画、隣地境界の取り決めなど、さまざまな目的に応じて作製されており、奉行や十村との手紙(一紙文書)などから、藩から絵図作製の命令を下された様子や検地や新田開発の経緯などがうかがえます。