高岡市雲龍山勝興寺/文化財デジタルアーカイブ

宝物

作品解説

絵画

四季耕作図巻 春夏
四季耕作図巻 秋冬


四季耕作図巻(しきこうさくずかん)     [目録を見る]   [ 宝物解説へ ]
 
 本作には、農作業の進展とともに四季の移りゆきが彩り豊かに描かれている。金砂子をまいた華麗な作品で、絵巻物としては珍しい絹本である。箱は二重で、漆塗りの内箱蓋表には、金泥で「絵巻物 耕作之図 二軸 加藤遠澤筆」とある。
 
 加藤遠沢(えんたく)は、狩野探幽の高弟で、会津保科家に仕えたこと、享保15年(1730)に没したことが知られていた。性格は清廉温厚で、師の探幽にその誠実さを見込まれて遺児の教育を託されたという。生年に関しては2説あったが、本資料の落款印章によって、生年は正保3年(1646)、85歳にて没したことが確認された。
 
 本作と極めて画風の似た加藤遠沢筆「祇園祭礼図屏風」(金沢市立中村記念美術館蔵)は、会津松平家と加賀前田家との婚姻に関わるものと考えられている。また、「四季耕作」という画題が、豊作を予祝する祝儀的な内容を持つ上、深窓の姫君や若君に民草の営みを教えるものとして、江戸時代の婚礼や養子縁組の際の調度として持参されることが多いことからも、本作も藩主子女の縁組みに関わる作品と推測される。勝興寺へは、後に還俗して前田家第11代当主となる法暢(1745~1810)、あるいは加賀藩主養女として住職夫人となった芳明や清皎が入輿した際、持参した可能性があるだろう。

(高田克宏)


【参考文献】『浄土真宗と本願寺の名宝Ⅱ-守り伝える美とおしえ-』龍谷大学 龍谷ミュージアム,平成29年(2017)