昭島市デジタルアーカイブズ/あきしま 水と記憶の物語

昭島の歴史

第Ⅱ編 原始・古代の昭島

第1章 太古の昭島

三 アケボノゾウの足跡の化石

 アケボノゾウの、子どもの頭の化石を発見した福嶋さんは、その後も、付近を調べていました。
 そして平成十一(一九九九)年八月十七日、今度は、足跡化石を発見しました。二日前までの大雨による増水で、新しい川底が露呈したため、見つけることができたのです。
 発見した時、足跡化石は、すでに浸食によって、かなり痛んでいました。そこで九月五日、飯田市美術博物館の学芸員の人たちと、急いで再調査しました。その結果、アケボノゾウの足跡だろうと考えられました。
 今まで発見されたアケボノゾウの足跡化石は、関東では一例しかありません。平成三(一九九一)年、埼玉県入間市の、入間川の河床から出たものだけです。もちろん、多摩川では初めての発見です。
 このように貴重な足跡化石ですが、このまま放置しておくと、春以降の増水で消失してしまう危険が考えられました。
 そこで、都立大学大学院の菊地教授を団長とする多摩川足跡化石調査団が結成され、十二月二十五~二十八日まで、本調査を行いました。
 その結果、水道橋上流の、三十平方メートルの範囲で、細長く分布した、二十四個の足跡化石が発見されました。
 足跡の直径は、三十センチメートル前後でしたが、二十センチほどの、小さいものもありました。
 この付近からは、アケボノゾウの子どもの骨の化石が発見されていることもあって、アケボノゾウの、親子の足跡化石であると判断されました。
 先に発見されたアケボノゾウの化石は、死んでから地層に埋(う)まるまでに、水の勢いにのって、流されてきた可能性があります。しかし足跡化石は、地層につけられた生活の痕跡です。だから、足跡化石の発見によって、この昭島に、アケボノゾウがいたことが、いっそうはっきり証明されたのです。

日野市の多摩川河床から発見されたアケボノゾウの左切歯


足跡化石ができるまで


足跡化石の発掘地点(平成11年2月)

 
◇若返った?アキシマクジラ
 アキシマクジラの化石は、アケボノゾウの足跡化石が発見された場所から、およそ二・五キロメートル下流で発見されている。
 アキシマクジラは、発見された当時は、「およそ五百万年前のもの」という意見もあった。
 しかし、後から発見されたアケボノゾウの足跡化石は、およそ百七十万年から百八十万年前のものと推定された。
 アキシマクジラの化石が含まれていた地層は、アケボノゾウの足跡化石があった地層より新しい地層である。だからアキシマクジラの化石は、やはり、およそ百六十万年前から百七十万年前のものと再確認された。
 「ゾウがクジラを若返らせた」と考えるとおもしろい。