大学ラグビー史
決勝観戦記とテーブル
写真 機関誌
G:国立競技場 ○帝京大 15-12 天理大● 帝京大、同志社大と並ぶ大学選手権三連覇
第48回を迎えた全国大学選手権の頂点に立ったのは帝京大学だった。三年連続での優勝は、1982年度から84年度の同志社大学以来の快挙である。 強力FWの帝京か、高速BKの天理か。トスに勝った帝京が風下を選択して午後2時、天理のキックオフで試合は始まった。帝京の戦い方は徹底していた。天理の高速BKにチャンスボールを与えないよう、自陣の天理ボールラインアウトを避けるため、いきなり30m近くモールを押し込む。このあとも、密集背後からSH滑川剛人のハイパントを多用し、簡単にタッチに出さないように細心の注意を払った。 天理はSH井上大介がこのボールを確実にキャッチし、冷静な判断からパスを出して切り返した。立川、バイフらがタックラーをかわして次々にゴールラインに迫る。そして前半16分、天理は帝京ゴール前のスクラムから右オープンに展開し、立川とハベアがダミーシザースし、ブラインドサイドから走り込んだWTB木村が先制トライをあげる。今大会で、帝京が初めて許すトライだった。 帝京のチャンスはその数分後、天理が帝京のハイパント処理にもたつくと、ボールを奪って一気の連続攻撃。ゴール前まで攻め込むと、ラックからNO8李がトライ。ワンチャンスをものにし、7-5と迫った。 この後も、帝京は強力FWで前進し、機を見てBKを走らせる戦い方に徹したが、天理も粘り強く守り、ボールを奪い返すとBK展開で切り返した。しかし、帝京もなかなか崩れず、32分、天理ゴール前のラインアウトから帝京がモールを押し込み、FL大和田立がトライ。前半は、12-7と帝京がリードして折り返した。 後半に入って、スコアの動きはこう着する。それでも、互いに持ち味を出し合って観客席を飽きさせることはなかった。31分、天理は、自陣から井上、立川らがボールをつなぎ、最後はLO田村玲一がタックラーを2人、3人とかわしてWTB宮前にパス。12-12の同点に追いついた。 残り10分も、すさまじい攻防になったが、38分、自陣22ライン付近から攻めた天理がラックで手を使うペナルティ。帝京SO森田佳寿が狙ったPGは、ポストに当たりながら入るという劇的な幕切れ。大黒柱のキャプテンが最後に試合を決めた。 試合後、岩出雅之監督は、「きょうは、2つのポイントに絞って戦いました。我々の強みを出し、天理の強力BKに強みを出させないこと。想像以上の接戦になりましたが、最後は森田が締めてくれました」と頼もしいキャプテンを称えた。 森田は、肩、腕、ふくらはぎ、足首と、満足に走れない怪我を抱えていた。森田に負担をかけないよう、全選手が体を張った勝利でもあった。 「一年間ここを目標に取り組んできました。136名の部員、スタッフの思いを、22名の選手が背負って、痛いプレー、きついプレーをし、苦しいときに走った。天理は素晴らしいチームでした。苦しい試合でしたが、あきらめずに戦った結果です」(森田キャプテン) 天理の小松節夫監督も潔よかった。「お互いの持ち味を出しあった、いい試合でした。小さいながらも頑張ったFW、少ないチャンスでトライをとったBK、よくやってくれました。また強いチームを作って戻ってきたいと思います」 |