日本ラグビーフットボール協会/日本ラグビー デジタルミュージアム

日本ラグビーフットボール史

戦後の国際交流

Ⅱ 初めて見る世界のナショナルチーム

 ただ、1980年代後半にはいってからの来日諸外国との対戦をデータでチェックしていくと、1987(昭和62)年11月に来日したW杯の初代王者オールブラックスは、かつての「レッド・デビル」と恐れられたウェールズ代表とともに例外の対戦相手と考えるのが妥当だろう。第1テスト0-74、第2テスト4-106の屈辱的スコアにそれがはっきりと示されているが、主将のデービッド・カークをオックスフォード大学留学で欠いていたにもかかわらずこのスコア。ここは世界の頂点を極めた相手と割り切ったうえで、日本の立場でデータを洗い直すと、明るい徴候が出始めているのに気がつく。
 
 その第1点は5カ国対抗優勝のカンバンをひっさげて1985(昭和60)年5月に来日したアイルランド代表とのテストマッチ2試合。結果は第1テスト13-48、第2テスト15-33と敗れはしたが、ホームユニオン相手にかつてのイングランド戦以来の善戦といってもいいだろう。第2テストの観戦記を担当している強化委員日比野弘がその冒頭で「本当に惜しかった。残念だった。5カ国対抗優勝のアイルランドとがっぷり4つ相撲をとった日本代表は一瞬のすきを突かれて大金星を逃がした。勝てる試合だったというと、33-15のスコアから負け惜しみのように思われるかも知れない。だが6月2日、秩父宮を埋めつくした大観衆のみんなが、私と同じ感想を抱いたと思う。…」と書いている。
 
 そして第2点の現れは1989(平成元)年5月のスコットランド代表とのテストマッチである。ちょうど同じ時期にライオンズ(全英国代表)の豪州ツアーとぶつかったためだろう。エースのFBギャビン・ヘースティングズら主力を欠く代表編成となってはいたが、それでもスコットランド・ユニオンが送り込んできた正式なナショナルチーム。初戦の関東代表を91-8で一蹴したのをはじめ、九州代表を45-0、U23日本代表を51-25、関西代表を39-12と連破して、いよいよ最終の日本代表戦を迎えることになった。東京を起点に西へ下って、また東京へと帰ってくる来日チームお決まりのツアーコースではあるが、最初に来日したスコットランド代表チームと違ったのは失点の多いこと。それでもテストマッチともなればホームユニオンの底力を発揮するのでは…とは日本関係者共通の思いではあったが、なんと試合が終ってみればスコアは28-24の4点差とはいえ日本代表が4ホームユニオンから初めて記録した歴史的な勝利。翌日の新聞には一般紙、スポーツ紙をとわず「日本ラグビー悲願90年 世紀の大勝利」、「新生はつらつ大金星」、「スコットランドに勝ったぁ。『世界8強から』初金星」…などなど。大きな活字が紙面に躍る報道ぶりだった。トライ数ひとつを比べてみても、日本代表のトライ5に対してスコットランド代表は1。決定力に勝った日本代表の完勝といっても言い過ぎではないが、ただ喜んでばかりもいられない。それはレフリーのレス・ピァード(ウェールズ)が日本代表に科したペナルティ21に対して、スコットランドの反則数はわずかに5。桁違いに少ないことからも、国際試合を行ううえで日本代表は、この点を重く受け止めるべき課題のひとつといえる。日比野弘も日本協会機関誌の最後に「…不本意なゲームをして、インターナショナルボード8カ国の代表チームとして初めて日本に敗れたスコットランドのフィフティーンの心境は察するにあまりある。しかし彼等は口惜しさを胸の奥にしまい込み、良き敗者として、見事なノーサイドの精神を見せてくれた。…」と敗れたスコットランドを称えている。
 
写真・図表

 
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【第2次スコットランド代表に本ツアー戦績(1989年5月)】
①5月14日(秩父宮)
 ●関東代表8−91スコットランド代表
②5月17日(平和台)
 ●九州代表0−45スコットランド代表
③5月20日(花園)
 ●U23日本代表25−51スコットランド代表
④5月24日(瑞穂)
 ●関西代表12−39スコットランド代表
⑤5月28日(秩父宮=テストマッチ)
 ○日本代表28−24スコットランド代表
 
日本代表対戦メンバー】
日本代表対戦メンバー表

 
 劇的な勝利のあとも世界各地から日本代表との対戦を求めてナショナルチームが日本に続々とやってきた。1990(平成2)年3月のフィジー、同9月のアメリカ、1994(平成6)年9月の香港、1995(平成7)年2月のトンガ、同4月ルーマニア、1998(平成10)年9月のアルゼンチン、1999(平成11)年8月のスペイン、2002(平成14)年ロシア、2004(平成16)年6月のイタリア、そして2006(平成18)年5月のグルジア…と多種多彩。おなじみアジアの香港を除けば初来日だったが、ひとつの傾向として一度日本にやって来ると、そのあとまた来日する複数回のチームが多いのも特徴といえば特徴といえるだろう。
 
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初来日のアルゼンチン代表戦で快走する日本代表の大畑(秩父宮ラグビー場)

 
 また最新のIRBが2006(平成18)年7月10日に発表した世界ランキングによると、最近の来日チームではアルゼンチンの8位が最高。ついでフィジー(11位)、イタリア(12位)、ルーマニア(15位)、トンガ(16位)、グルジア(17位)、ロシア(19位)、日本(20位)、韓国(23位)、スペイン(25位)、香港(29位)の順となっているが、対戦成績で日本がまだ勝った経験のないイタリアはともかく、アジア諸国を除いたフィジー、ルーマニアトンガ、グルジア、ロシアスペインなどの各国との日本国内での対戦では互角、あるいはそれ以上の記録が残っている。このところパシフィックリムがスーパーパワーズ・カップ、そしてIRBパシフィック・5ネーションと衣替えしたこともあって、長年の友人カナダ(13位)、アメリカ(14位)との対戦が見られなくなってしまったが、この両国にトンガフィジー、サモアといったアイランダーは、もともと日本代表の好敵手でもある。日本協会が「世界8強進出対策会議」なる会合をセットして真剣に策を練り、論議を尽くしているのも、国際試合の結果次第で上がりもすれば、下がりもする世界ランキングの変動の激しさに8強への可能性を見出しているからともいえる。日本協会創立80周年記念祭以後の日本代表に期待をしたい
 
日本ラグビーの恩人カナダとの交流。皇太子さまをお迎えして熱戦を展開した。
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日本代表と来日外国チームの対戦成績】
(日本で開催された第2回W杯アジア太平洋地区予選の結果は「W杯の項」を参照)
日本代表と来日外国チームの対戦成績表

 
日本代表と来日外国チームの対戦成績表

 
日本代表と米国外国チームの対戦成績】
(W杯など諸大会を除く)
日本代表と米国外国チームの対戦成績表