港区/デジタル版 港区のあゆみ

港区史 自然編

第Ⅲ章 港区の生物

1 港区の生物の変遷と特徴

ⅰ 生物の歴史的移り変わり

 港区の生物の歴史を振り返ることができるのは、地質学的に「有楽町海進」と呼ばれている縄文海進がピークを迎えた7,000年ほど前までである。それ以前の旧石器時代の終わりから縄文時代のはじめの生物相の知見は、東京あるいは関東平野に範囲を拡げても、かなり断片的である。
 例えば、関東平野各地の2万年ほど前の地層からナウマンゾウが発掘されている。港区でも高さ2mほどのナウマンゾウが闊歩していたのかもしれないが、その証拠は発見されていない。
 こうした2万年ほど前の寒冷期の関東の平野部には、亜寒帯性の針葉樹と温帯に生育する落葉広葉樹が混在していたと考えられている。針葉樹の方は、現在では青森以南の東日本の山岳帯を代表するマツ科のオオシラビソや同じマツ科でもクリスマスツリーの形をしたトウヒなどが知られている。また広葉樹は、ドングリのなる樹として知られているコナラ(ブナ科)が代表種である。時代が旧石器時代から縄文時代に移る1万6,500年ほど前になると、日本周辺では気温も上昇し、関東平野の植生は針葉樹林から落葉広葉樹林へと変化していったと考えられている。それとともに海面も最初は緩やかに、9,000年ほど前からは急速に上昇し始め、現在の東京湾よりもはるかに奥にまで海水が押し寄せた。これが有楽町海進である。