港区/デジタル版 港区のあゆみ

新修港区史

第一編

第六章 近代

第二節 明治後期の港区

(二) 近代工業の形成と特殊産業の発展

(1)企業の勃興と芝浦工業地帯の形成

 わが国の電燈点火は明治十一年三月二十五日、京橋木挽町に新設された東京中央電信局の開業式祝賀会場においてなされたのが最初であったが、同十五年に至って大倉喜八郎らの発起で電燈会社設立を東京府に出願、翌十六年二月、東京電燈会社の設立をみるに至った。同二十二年四月、芝区田町四丁目に設立されたのが品川電燈株式会社で、同二十四年当時における日熱電燈取付個数は一四七〇燈といわれ、市全体で約一万三〇〇〇燈ぐらいであったというから、約一割を占めていたことがわかる(『東京府史』行政篇第三巻)。
【日露戦争以前の主要工場表】 日清・日露の二つの戦争を通じて日本資本主義は飛躍的に発展していったが、日露戦争以前に港区地域で設立された主要な工場を列挙してみると、工業進展の状況がよくわかる(表11)。
 
表11 日露戦争以前の主要工場(開設年別)   明治三四・一二・三一現在の稼動工場
 設立年月   工 場 名   所 在 地 所 有 主  生 産 品 目  動   力職工数
機関数 馬 力
 二年 三月
 七年 七月
 八年
一四年
一五年 六月
一六年 八月
一八年 一月
一八年一〇月
一九年 五月
一九年一一月

二〇年 四月
二一年 五月
二二年 四月
二三年 三月
二三年 五月

二四年 五月
二四年 五月
二四年 七月
二六年 八月
二六年 九月
二七年 四月
二八年 二月
二八年 五月
二九年 四月
    四月
    四月
    六月
二九年 八月
    九月
    九月
三〇年 八月
   一一月
三一年 七月
三二年 一月
    五月
    八月
    九月
   一〇月
   一二月
三三年 五月
    五月
    五月
    七月
   一二月
三四年 一月
    四月
   一一月
   一二月
大塚靴工場
山本酒造工場
芝浦製作所
緒明造船所
東京電車鉄道工場
田中製革工場
国友工場
東京瓦斯第一製造所
富岡機械製作所
真島機械工場

東京製綱(株)
東京機械製造(株)
品川電燈(株)
池貝鉄工所
井手分工場

東京電車馬糧工場
進歩館
吉村器械工場
畠中工場
田岡工場
日本壁紙(資)
須崎工場
井口工場
宇野沢機械工場
日本坩堝製造所
東京電気(株)
塚本工場
鈴木工場
藤島工場
白木工場
金杉鉄工場
朝比奈工場
竹村糸工場
東京螺子製作所
東京麻布沃硝製造工場
東京木管製造所
日本電気(株)
山越工場
改良元結製造(資)
東京測量器械製造会社
小川工場
浅田毛織物工場
小島工場
村井兄弟商会東京工場
関莨製造所
大塚工場
村井兄弟商会三田分工場
丸山燃寸製造所
芝区露月町二一
麻布区北日ヶ窪四〇
芝区芝金杉新浜町一
芝区品海第四砲台
芝区汐留町二の一
芝区白金台町二の四九
芝区新堀町二
芝区浜崎町三
芝区田町二の一八
芝区三田豊岡町九

麻布区本村町一四五
芝区三田四国町一八
芝区田町四の四
芝区本芝入横町一
芝区本芝下タ町一八

芝区汐留町二一
赤坂区青山北町六の四八
芝区西応寺五三
芝区三田豊岡町二
芝区本芝一丁目二三
芝区三田四国町二
芝区本芝下タ町一八
芝区三田四国町二
麻布区麻布新堀町七
芝区三田小山町三
芝区三田四国町二
芝区三田横新町一二
芝区本芝人横町一
芝区新堀町一二
芝区西応寺町六〇
芝区金杉川口町二一
芝区横新町一三
麻布区富士見町五三
芝区本芝二の一〇
麻布区広尾町一二二
芝区三田豊岡町一三
芝区三田四国町二
芝区本芝三の八
芝区白金志田町六〇
芝区三田小山町二〇
芝区三田四国町二
芝区三光町二四
芝区神明町二一
芝区田町二の一三
芝区芝二葉町一三
芝区田町二の一七
芝区三田四国町二
芝区白金志田町二一
大塚岩次郎
山本松五郎
(名)三井鉱山
緒明菊三郎
電車線路用金物
田中幸吉
国友武男
東京瓦斯(株)
富岡米蔵
真島磯五郎




池貝庄太郎
井手雄平


宮武南海
吉村鉄之助
畠中友次
田岡忠次郎

須崎兼作
井口常次郎
宇野沢辰雄
日本坩堝(資)


鈴木英吉
藤島兵太郎

桜井富蔵

竹村春吉
松本武平



山越秀太郎


小川正次郎


(株)村井兄弟商会
関久四郎

(株)村井兄弟商会


酒類・ラムネ
蒸気電気機械
船舶及諸機械

牛皮
諸機械
ガス
汽罐溜器
ラムネ製造機械
発動機 印刷器
麻綱
諸機械
点燈
ガスその他機械
蒸汽罐・橋水路
鉄工具・諸機械
馬糧わら
書籍・雑誌
電気・船具
車輪器械
諸機械
壁紙
機械用鋳物
諸器械
諸機械
坩堝
電気機器
鋳物類
汽罐・諸機械
諸機械
砲金鋳物
蒸汽罐・煙突
諸機械
金銀モール・綿絹・組物
螺子
硝酸加里・沃度
木管・木工具
電気機械
諸機械
元結
測量機械
鉱業機械
段通・毛織物
紙箱
刻・巻煙草
刻煙草
鉄道諸機械
刻・巻煙草
マッチ
  ―
  一
  二
  三
  ―
  ―
  一
  五
  二
  一

  二
  二
  三
  一
  一

  一
  三
  一
  一
  一
  ―
  一
  一
  一
  一
  一
  一
  一
  一
  一
  ―
  一
  一
  一
  一
  一
  一
  二
  ―
  一
  一
  ―
  一
  一
  一
  一
  一
  ―
     ―
  三・六〇
三〇〇・〇〇
 二五・〇〇
     ―
     ―
  五・〇〇
 四二・〇〇
 一五・〇〇
 一〇・〇〇

 八一・〇〇
 三五・〇〇
三〇〇・〇〇
 一五・〇〇
 一五・〇〇

  八・〇〇
     ―
 一二・〇〇
  六・〇〇
  七・五〇
     ―
  三・五〇
  三・五〇
  三・五〇
  六・〇〇
  八・〇〇
  三・五〇
  三・〇〇
  五・五〇
  二・五〇
     ―
  三・五〇
  五・〇〇
  四・五〇
  五・〇〇
 一〇・〇〇
 四〇・〇〇
 一六・〇〇
     ―
 一二・〇〇
  三・五〇
     ―
  三・〇〇
 一五・〇〇
  七・〇〇
  三・〇〇
  五・〇〇
     ―
一七五
 一〇
四四一
一八〇
 一〇
 二五
 二三
 七三
一五〇
 一四

一五三
 二〇
 三〇
 二五
 五〇

 一三
 一〇
 九〇
 二〇
 三五
 一二
 一三
 一五
 二一
 一八
 七三
 二二
 一六
 一五
 二〇
 一九
 一二
 一一
 一六
 一一
 一九
一六五
 六八
 一四
 一五
 一〇
 一五
 五四
六六〇
 三六
 一四
 五八
 一一

 
 工業立地のもっとも卓越した芝区内工業をみると、明治二十八年では二四工場、職工数二二一五人であったのが、同四十一年では七二工場、職工数四九八四人と増加を示している(『東京府統計書』)。
 芝浦付近の工業的発展に重要な役割を果たしたのは、明治三十九年からはじまった隅田川口改良工事、すなわち東京港修築による埋立地の竣成である。これにより埋立地は、東京港およびそれに付随する倉庫街として特異な発達をとげるとともに、工場地帯として著しい躍進を示すに至るのである。