大網白里市/大網白里市デジタル博物館

石井雙石 解説

作品解説

  • 松梅繁生
  • 石井雙石
  • 昭和44年


 石井雙石はユーモアのある造語の達人で、それを印刻したり書にしたためたりした。その最たる例が「愛山喜雨」で、「山を愛し、雨を喜ぶ」とともにI thank you(アイ・サンキュウ)。日本の美と、感謝を示す世界共通語を兼ねた語で、かつて解説者もこの語を半切画仙紙に一行で書かせていただき軸装したことがあるが、箱書きは上記のとおり英語で揮毫したことであった。
 この金潜紙の色紙に揮毫された「松梅繁生」も雙石の造語であろう。松や梅が繁り生えるとともに商売繁盛。落款「九十七叟」から昭和44年(1969)の揮毫と知るが、各々が大木であることを示すかのように濃墨で大きく太く「松梅」を書きながら収まりのよい布置である。酒仙らしく、三辺を輪郭線で囲った「酔碩」白文長印が添えられているが、これは側款に李白の五言律詩「清渓行」の第六句「鳥度屏風裡 雙石 」が刻された昭和24年(1949)の木印で、「」や「黒柿」にも捺されている。なお、これら雙石の自用印は一括で、他の篆刻作品や書作品とともに千葉県立美術館に収蔵され、県の有形文化財に指定されている。
 
解説: 森岡 隆(筑波大学教授・博士(芸術学)) 2019.3
 
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