大網白里市/大網白里市デジタル博物館

石井雙石 解説

作品解説

  • 延年壽命長
  • 石井雙石
  • 昭和43年


 昭和43年(1968)に「九十六叟」石井雙石が、半切の画仙紙に力強く行書でしたためた「延年壽命長」だが、「年」「命」の縦画も垂直にまっすぐ書ききっており、この語のとおり生命力が横溢している。軸装もこの語にふさわしく金地の裂で囲むが、本紙上下の一文字には「壽」「福」の文字も織り込まれている。
 落款印は、昭和27年(1952)刻の「碩鉥(じ)」白文方印と、側款「辛卯/冬日/雙石」から同26年冬の刻と知る「不二山客」十字格朱文方印で、これらは『雙石先生印譜』の第16顆、第17顆に所収される。雙石は半切作品にはこの両印の組み合わせを好んだようで、「瑞煙呈福壽」や「無心得良悟」、「益壽延年」などに用いている。全紙(約135cm×約70cm)に篆書で大書した「大吉羊」でもこの両顆を用いたが、「不二山客」印が右に横転している。「九十三叟雙石」と添えられた「大吉羊」は昭和40年12月、93歳にして埼玉県東松山市の息女家族の家に移ったことを喜び揮毫したのではないかと察するが、ほほえましい押印である。
 
解説: 森岡 隆(筑波大学教授・博士(芸術学)) 2019.3
 
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