大網白里市/大網白里市デジタル博物館

石井雙石 解説

作品解説

  • 大吉羊
  • 石井雙石
  • 昭和40年


 「大吉羊」とは「大吉祥」のことであり、縁起のいい言葉。「寿」のように、石井雙石は晩年、「長楽」や「延年」といった縁起のいい吉語を頻繁に揮毫している。本作には濃墨を用いており、墨だまりの部分や渇筆が随所に見られる。同様に濃墨のため、筆先が割れた状態のまま、「九十三叟雙石」と落款を認めている。一字目の「大」字は隷書のように左右への広がりを誇張し、「吉羊」は楷書のような字形でありながら、篆書の筆順で揮毫している。いずれの字も左右に倒れながら、どこかバランスのとれた、まさに雙石晩年の老境がなせる書といえる。しかし、「碩鉥(じ)」白文印を捺した後、誤ったのか、「不二山客」朱文印を90度、右に倒した状態で捺している。この作を揮毫した昭和40年(1965)、数え年93歳の雙石は、勲四等旭日小綬章を授与され、12月には埼玉県東松山市和泉町に居を移している。
 
解説: 髙橋 佑太(二松学舎大学専任講師・博士(芸術学)) 2019.3
 
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