大網白里市/大網白里市デジタル博物館

石井雙石 解説

作品解説

  • 一笑百印(印影)
  • 石井雙石
  • 昭和22年


 その名のごとく「笑」字印を百顆、刻したもので石井雙石の代表作品のひとつ。印材には石印ではなく、竹根や南瓜の蔕など身近な素材を用いていることから、楕円形が多く、変形印特有の趣をそなえている。雙石は昭和20年(1945)5月、空襲に遭い、それまで収集していた蔵書や金石関係の資料をすべて焼失してしまった。以後、郷里の九十九里浜四天木(現在の大網白里町)に疎開し、自然に生息するものを印材として用いたが、本作もその疎開時の九十九里浜にて制作したもので、昭和22年(1947)、完成した。雙石の作風は多種多様と言われるが、百顆ある「一笑」は、まさにその面目躍如の如く、一顆一顆が異なる表情を見せている。本作が完成した翌年4月、雙石は東京都葛飾区堀切に居を移している。なお、「午睡律詩」と同様、原印は2016年に「石井雙石篆刻資料」として千葉県の有形文化財(書跡)に指定されており、文化遺産オンラインのWEBサイトで百印の一部を目にすることができる。
 また「雙石翁百笑印集」も本作と同様に「一笑百印」を捺したものである。落款に「辛未仲春東郷押印」と記されていることから、雙石没後、東郷なる人物が平成3年(1991)に捺印したことがわかる。
 
解説: 髙橋 佑太(二松学舎大学専任講師・博士(芸術学)) 2019.3
 
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