東金市/東金市デジタル歴史館

東金市史

総集篇五

第七篇 民話・伝説

A 民話

 松之郷に八坂神社というお宮がある。一般に天王様とよばれて、正月の六・七日と六月の六・七日に近在近郷より人々が参詣にくる祭典がおこなわれるが、この氏子の人人は、「きゅうりを作らない。」「きゅうりをたべない。」と言い伝えられている。
 これについてこんな話がある。
 八阪神社の祭神は素戔鳴尊(すさのおのみこと)である。素戔鳴尊は機織(はたお)り中(ちゅう)の姉宮天照大神に馬の皮をはいでなげつけ、八百万(やおよろず)の神々に追われるのだが、にげるのに牛の背に乗ってにげた。ある熱い日、夢中で逃げる素戔鳴尊はのどがかわいてたまらなかった。そこは人家もない山の畠の中で、井戸などはなかった。ふと見ると青々としたきゅうりが目についた。そこで、そのきゅうりを一本生(なま)かじりしたわけだがすばらしくよい味だった。
 そこで、「これはすばらしいもの。」とほめたという。
この話を氏子の人々は知って、氏子は
 「牛をかわない。」
 「きゅうりはたべない。」
ということになり、きゅうりを食べないなら、
 「きゅうりを作らない。」
となったのだと言いつたえられている。
 今は、松之郷の人々がきゅうりをたべない、作らない、牛を飼わないなどということはない。
 この話は、人によって言い伝えが違う。伝えば、「天王様の祭典が終るまではたべないが、祭りの終った後は食べてもよい。」とか、「八坂神社の紋がきゅうりの輪切りの切り口に似ているのできゅうりは食べない。」とか、「きゅうりを食べると素戔鳴尊がのどのかわきをうったえた時、差上げられなくなる。」とかがそれである。