東金市/東金市デジタル歴史館

東金市史

総集篇五

第六篇 文化財・金石文

A 文化財

一 有形文化財

 東金八街間を走る九十九里バスは滝台から板橋・極楽寺を通って八街を往復する。
 その極楽寺バス停近くに、三社神社がある。市内極楽寺三一七番地にあるこの三社神社に奉納されている絵馬一面が、昭和五六年(一九八一)一二月一日に、市の教育委員会によって、有形民俗文化財として指定された。
 この絵馬は、明和二年(一七六五)に奉納されたもので、縦一三八センチメートル、横二〇四センチメートルの杉材を横に五枚接合して作られ額縁は黒く塗られた角材が用いられた大きな絵馬である。なお、絵馬の向かって右側に「慶応二丙寅年九月吉日氏子中」の文字が見えるが、これは慶応二年に修復されたとうい意味であろう。
 この絵馬は、大きく三段にわけられ、一番下方には、水田に入って作業している風景が見られ、中段には、細かな収穫作業が画かれ、その右面に米俵をかつぐ農民の姿が見える。
 上段も、収穫作業の模様で、ざるを持つ婦人の姿や、ござの上に坐した三人の人も画かれ、人物はざっと四〇人程が数えられほかに馬二頭が見える。
 言うまでもなく、この図柄は、当地方の江戸時代における稲作風景を画材にしたもので、描法は墨線書きに朱・青・白等の絵具で彩色され、種蒔・代掻・田植から除草・稲刈り・脱穀・選別・籾摺り・俵づめ・蔵入れ等収穫に至るまでが、ことこまかに描かれていて、当時の様子を知る上で貴重な資料である。
 最上部に「奉掛御宝前」の文字がある。
 こうした産業絵馬は、市内ではこれ一面のみであり、県下でも珍らしいものである。