宮代町立図書館/宮代町デジタル郷土資料

宮代町史 民俗編

第六章 身のまわりの生活史

第二節 食生活

三 ハレの食事

(一)田植えの食事

 田植えが終了することをウエアゲ(植えあげ)といい、この日の晩には手伝いの者たちを招いてサナブリの祝いを行った。
 サナブリには、サナブリボタモチあるいはウエアゲボタモチと称してぼた餅がつきものとされ、これを稲苗二把、お神酒、オアカリ(灯明)とともにコウジンサマに供えてから食べた。ていねいな家では、田植えに使用したマンガ(馬鍬)にも供えたという。
 ぼた餅は、糯米七分に粳米三分を混ぜて蒸し、これを握って周りにあんを付けたものである。黄粉のぼた餅は葬式に作るものとされ、祝い事には避けられる。ただし、あんの嫌いなものに配慮して黄粉とあんの二色を作る家もあった。糯米のみで作る場合は粘り気が強過ぎるので、「半殺し」と称して蒸しあがったものを軽く搗いて潰した。某家で来客時に、「今日は手打ち(うどん)にするか、それとも半殺し(ぼた餅)にするか」といったところ、聞いていた客が慌てて逃げ帰ったという笑い話もある。
 サナブリのご馳走は、てんぷら、野菜や芋の煮しめ、ニシンやなまり節の煮付け、サバの味噌煮、塩イカの焼き物、ヤッコドウフ(豆腐の冷や奴)などで、終戦後には刺身も加わった。客はこれらを肴に酒を飲み、酒が一段落をするとうどんが出された。うどんは、カツオ節のだしが利いた醤油味のシタジにつけて食べ、薬味には刻みネギや刻みミョウガが添えられた。帰りには、ぼた餅を重箱に詰めて土産に持たせた。