宮代町立図書館/宮代町デジタル郷土資料

宮代町史 民俗編

第五章 人の一生

第三節 葬送

一 死と霊

 人が死ぬときには何か、前触れのようなものがあるという話は多く聞かれる。中でも「カラス鳴きが悪いと不幸がある」という話は宮代全域で聞かれる。例えば、「カラスが近くでひっきりなしに鳴く」「朝早く、多くのカラスが鳴く」「カラスがさびしそうに鳴く」など、その鳴き方や声に注目したものが多い。しかし、不幸が起こる家の人はその変化に気づかないという。また、同様に音に関する予兆では「夜中に家の戸を開ける音がしたとき、誰かが亡くなったと思う。表の戸が開く音がしたときは男性、裏の戸が開く音がしたときは女性」ともいう。寺の留守居は寺で物音が聞こえたといい、「本堂で音がすると男性、オカッテで音がすると女性が亡くなった」などという。また、夢で不幸の前触れを感じることもある。例えば、「歯が抜ける夢をみると身内に不幸が起きる。上の歯が抜けるときは自分より若い人、下の歯が抜けるときは自分より年上の人が亡くなる」ともいう。また、死ぬときに肉体から魂が抜け出ると考えられていたためか、「火の玉が虹のように飛んでいくのを見た」ということもあった。
 このほか、心意的な現象ではないが、戦前は山羊の乳は飲んでも牛乳を飲むことはほとんどなく、貴重品であったため、近所で病人がいる家が牛乳屋から牛乳をとるようになると「牛乳屋さんが行くから長くないな」などと噂し合った。また、以前は病気になっても置き薬を飲んで治し、医者にかかることはめったになかったので、医者が来ると「かなり、悪いのだろう。葬式になるのではないか」と思ったという。