宮代町立図書館/宮代町デジタル郷土資料

宮代町史 民俗編

第三章 年中行事

第五節 秋から冬の行事

二 一〇月・一一月の行事

 恵比寿講は正月の二〇日と一一月二〇日に行われる。正月の恵比寿講を商人の恵比寿講、一一月の恵比寿講を農家の恵比寿講という。恵比寿・大黒様は普段はお勝手の棚に祀っているが、この時にはお勝手や座敷のテーブル、床の間などに出してお祀りする。恵比寿講には恵比寿・大黒様の膳で二膳供えるが、このときのご馳走は高盛のご飯、尾頭付きのさんま、てんぷら、けんちん汁などを膳で上げる。昔はさんまは恵比寿講のときではなければ食べられなく、普段の食事でさんまにけんちん汁のときは「今日は、恵比寿講みたいだ」という。また、カケブナ(活鮒)といって生きたフナを二匹水を張ったどんぶりに入れて供える。さらに、お金が溜まるように家族の者がめいめいに財布やお金を枡に入れて供えた。
 和戸本郷のある家では、稲の脱穀調製から俵詰めの作業は田植えのようなイイ(結い)は組まず家の者だけで行ったので、ヒキアゲも家族だけで祝った。ヒキアゲは恵比寿講までに間に合えば上等といわれ、ヒキアゲと恵比寿講とは日が近くなった。そこでたいていは恵比寿講とヒキアゲを兼ねて行ったものである。恵比寿講には米のメシを炊いてさんまを買って、けんちんを作ってお供えし、家族も食べた。
 辰新田のある家では、恵比寿講にはご飯・けんちん汁・さんま二匹・菊ビタシなどをそれぞれオエビス様・大黒様に二膳供えた。また、一斗枡の中にもお金が儲かるようにお金を上げる。恵比寿講には供えた物を家族の者が「○○を何万両で買います」などと言いながら下げていただく。さらに、恵比寿講にはカケブナといって用水からフナを捕ってきて、水を張ったどんぶりに入れて供える。恵比寿講が終わるとこのフナは井戸の中に放す。こうすると井戸の虫を食べるという。
 辰新田のある家では、一〇月の農家の恵比寿講には柿餅を上げる。柿餅とは石臼でコウセンを挽き、そこにうんだミノズル(柿)を突き込んだものである。これをオソナエのように大小に作ったものを上げる。柿餅を恵比寿様は大好物で、供えると物にも金にも不自由しないという。これを翌日、仕事のお茶受けに食べると大変甘くておいしい。
 西粂原のある家では、恵比寿講は一二月二〇日と一月二〇日があり、一二月二〇日は農家の恵比寿講で、農家ではこの日までに稲のシノッパライ(脱穀調整から俵詰め)が終わればいいと言った。恵比寿講にはその年穫れた新米でご飯を炊き、生のさんまと共に恵比寿・大黒様にお供えして豊作を祝っだ。ちなみに一月二〇日の商人の恵比寿講は、年末年始の売り上げに感謝して商売繁盛を祝う日といわれている。
 西粂原のある家では、恵比寿講は農作業の豊作のお礼ということで秋に行う。高盛りご飯に里芋のけんちん汁、さんまの焼いたものを二膳供えた。この供えたものを家族の者が「何万両で買います」といいながら下げていただく。このときにはお金が貯まるように一升枡にお金を入れた。また、カケブナといって、活きたフナを水の入ったどんぶりに入れて供える。魚がいないときには南天の葉を浮かしておいた。
 本田のある家では、正月二〇日と一一月二〇日の年二回恵比寿講を行う。正月を商人の恵比寿講、秋を農家の恵比寿講という。普段は恵比寿・大黒様は台所に祀られているが、恵比寿講のときにはちゃぶ台に出してお祀りする。恵比寿講には、燈明をつけ、尾頭付きの魚(さんま)、おてんこ盛り(山盛り)のご飯、けんちん汁などを二膳供える。また、カケブナ(活鮒)といって、沼で捕ったフナを水を張ったどんぶりに入れて供える。フナは恵比寿講が終わると一匹は井戸へ、もう一匹は用水に放す。また、このときにはナマズの団子(タタキともいう)といって、たくさん捕れたナマズを骨ごと鉈で叩いて、ミンチにしてうどん粉と味噌を混ぜ、団子にしたものを油で揚げて煮る。こうすると日もちをするので正月に御馳走として出す。
 西粂原のある家では、恵比寿講は一一月二〇日と一月二〇日があり、一一月二〇日は農家の恵比寿講で、農家ではこの日までに稲のシノッパライ(脱穀調整~俵詰め)が終わればいいと言った。恵比寿講には、その年穫れた新米でご飯を炊き、生のさんまと共に恵比寿・大黒様にお供えして豊作を祝った。ちなみに、一月二〇日の商人の恵比寿講は、年末年始の売り上げに感謝して商売繁盛を祝う日といわれている。
 須賀下のある家では、正月二〇日と一一月二〇日の年二回恵比寿講を行う。恵比寿・大黒様の神棚は台所に祀られており、恵比寿講にはこの神棚の前にちゃぶ台を用意して、そこに供え物を上げる。恵比寿講の供え物は、尾頭付きの魚(さんま)、ご飯(高盛りでエビス盛りともいう)、けんちん汁、カケブナ、一升枡の中に財布やお金を入れたものを上げる。秋の恵比寿には柿を上げる。この柿を供えると火難に遭わないという。また、「カケブナのようだ」という言葉もある。これは、カケブナが二匹の同じような大きさのフナを用意することから、「よくそろった」、「どちらも同じように立派だ」という誉め言葉である。特に兄弟などを誉めるときに言う。恵比寿講が終わると、このカケブナは屋敷の近くの用水に放す。