宮代町立図書館/宮代町デジタル郷土資料

宮代町史 民俗編

第三章 年中行事

第五節 秋から冬の行事

二 一〇月・一一月の行事

 屋内神として竈など火を使う場所にはオカマサマ(お竈様)、荒神様を祀っている。鼈の神様の名称は、荒神様とオカマサマがほぼ同義語として用いられているためここでは荒神様として表記を統一する。荒神様は一〇月の三一日に出雲のお社に出かけ、一一月三〇日に帰って来るという。出雲に出かけるのは、その家の縁談を相談しに行くといい、「一一月は荒神様がいなくなるので、結納や結婚式などの縁組みをしてはいけない」という。この月を神無月ともいう。

3-51 オカマサマ(東 S家)


3-51 オカマサマ(本田 H家)


3-51 オカマサマ(本田 H家)


3-51 オカマサマ(足洗い水)(東 S家)


3-51 オカマサマ(西粂原 T家)

 一〇月三一日の荒神様が出かけるときには、ぼた餅や菊の花を供える。このぼた餅はブックルミボタモチといい中身を少なくして、あんをたくさん付ける。こうするとその家にたくさんの家財道具を持った嫁さんが嫁いで来るという。家によっては、ぼた餅ではなく団子を供える家もある。この団子のことをブックルミ団子という。丸いものを土産としてあげると、よく働く嫁が来るといい、うどんをあげるとのんびりした嫁が来るという。
 一一月一五日をルスイギョウ・ルスンギョウといい、出雲に行かない神様に変わり物を作って荒神様に供える。ルスイギョウは幾度やってもいいという。誰かが出掛けた後においしいものを食べると「ルスイギョウのようだ」といった。荒神様にまぜご飯などを供えた。足を洗う水桶を藁を束ねた上に用意した。
 帰ってくる日には、出かけるときと同じように、オハギと菊の花・団子を供える。また、荒神様が帰ってきて足を洗う足洗いの水を用意しておく。このように「荒神様は裸足で行く」という家や「馬で帰って来る」という家もある。
 荒神様が出雲に行くときも帰って来るときも西風が吹き、帰って来るときは特に「オカマサマが帰って来るんだ」といった。
 辰新田のある家では、どんなに忙しくても、荒神様の祝いは行った方がよい。たとえ家でぼた餅が作れなくとも、もらっても供えた方がよいという。一〇月三一日には、ぼた餅七つと菊の花を荒神様に供える。このぼた餅の中身は小さくして、あんをたくさん付ける。こうするとその家にたくさんの家財道具を持った嫁さんが来るという。家によってはこのときにぼた餅でなく団子を供える家もある。この団子のことをブックルミ団子という。荒神様に日には、ぼた餅一重箱と団子一重箱、それに御神酒をあげて灯明をつける。また、花瓶に菊の花を挿してあげる。これは「いい話を聞く(菊)ように」という意味である。出雲大社は縁結びの神様だから、いい話を聞くというのはいい縁談を持ってきてくれるということにも通じる。一一月三〇日に荒神様が帰って来るときには、ハイリクチ(荒神様の入り口)に水を入れたシラジ(すりばち)を置く。これをアシアライミズ(足洗い水)といい、これで荒神様に足を洗ってもらう。荒神様は裏口から急いで裸足で帰って来るというので、シラジは裏口に置いておく。また、荒神様が出雲に出掛けるときは竃の鍋墨を顔になすってきれいにして行くというので、この日の朝、竃をみがいてきれいにしておく。一一月三〇日の帰ってくる日にも出掛けるときと同じように、ぼた餅と菊の花を供える。菊の花には、「出雲のいい話を聞く(菊)ように」との意味がある。
 須賀上のある家では、一〇月の出掛けるときには、土産団子とぼた餅を作って荒神様に供える。荒神様は子供が多く、一晩ずつ泊まって歩いても一か月もかかるという。このときに供える団子を、「オカマの団子で数でばかり(オカマサマの団子は小さくてもいいから、数がたくさんあった方がいい)」という。この土産団子を転がして転がった方角から、その家の嫁さんが来るともいう。
 須賀下のある家では、一〇月三一日の夕方に荒神様の棚にぼた餅を重箱に入れ、菊の花と一緒に供える。この菊の花は、「いい話(いい縁談)を聞くように」と飾るという。また一一月三〇日の夕方には、玄関の前に荒神様が足を洗うための足洗いの水を汲んでおく。荒神様の神棚にはぼた餅と団子を作って供える。
 東のある家では、一一月三〇日には荒神様が出雲から馬で帰って来るので、廊下の上がり段に藁をすぐってきれいに並べ、どんぶりに水を汲んで足を洗うように置いた。供え物はこのときも荒神様にぼた餅と御神酒、灯明を上げた。
 逆井のある家では、荒神様は一〇月三一日から一か月間、出雲のお社に出かけるという。荒神様が泊まりに行くときには「良い話を待つ」と荒神様の神棚に松を上げる。荒神様が帰ったときに「良い話を聞く」と菊の花を荒神様の神棚に上げる。出かけるときと帰って来るときには、ぼた餅を作って上げる。また、玄関の軒下に藁を敷いて、その上にどんぶりに水を入れた荒神様の足洗い水を出かけるときと、帰って来るときに用意する。
 山崎のある家では、一〇月三〇日は、荒神様が出雲へ旅立つ日であるという。ぼた餅や餅を供える(丸くおさまるように、丸いものを上げた)。黄色い菊の花や土産団子も供える。一一月一四日はルスンギヨウで、荒神様にぼた餅を上げた。一一月三〇日は、玄関に足洗い水を用意し、荒神様に黄色い菊の花・団子を供える。
 内野のある家では、一〇月三一日はオカマサマが出雲に旅立つ日であるという。このときには荒神様の棚にあんのオハギと菊の花を供える。また、土産団子として重箱に団子を入れて供える。荒神様は縁結びの神様なので、年ごろの子供がいる家では「○○に良い嫁さんが来るように」といいながら供える。一一月一五日はルスイギヨウといって、出雲に行かない神様に何か変わり物を作って供えた。一一月三〇日にオカマサマが帰って来るという。このときには、玄関に足洗いの水を洗面器に用意して、その前に足を拭く藁を二束置くと、オカマサマは家に上がるという。この日に荒神様の棚に団子・あんのぼた餅を供える。
 西粂原のある家では、一〇月三一日は荒神様が出雲に出掛ける日で、荒神様にぼた餅・菊の花・御神酒などをあげる。荒神様の日にはどんなに忙しくとも、ぼた餅を上げ、お祭を行う。こうするとその家の嫁さんの世話をしてくれるという。荒神様は一一月三〇日に帰って来る。この日にはぼた餅か団子を作り上げる。このときに、桶に水を汲んで足洗い水を用意する。この水を飲むと風邪をひかないという。荒神様の神棚の前に箕の中にぼた餅と団子を供える。このときには箕の中で団子を転がして、転がっていった方から嫁さんが来るという。
 西粂原のある家では、一〇月三一日はオカマサマが出雲へ旅立つ日、一一月三〇日は帰る日といわれ、この両日には団子を作りオカマサマに供えた。ぼた餅を作ることもあった。団子にしてもぼた餅にしても、あんこをいっぱい付けると嫁さんが来るとき道具や着物をいっぱい持って来るといった。荒神様のときに箕の上で団子を転がして転がった方から嫁さんが来るという。また、荒神様を大事にしないと嫁がもらえないという。