宮代町立図書館/宮代町デジタル郷土資料

宮代町史 民俗編

第三章 年中行事

第二節 正月行事

三 小正月

 小正月の一四日の朝、正月のお飾りを外して繭玉団子を供える。この行事は繭玉団子・メイダマ団子・メエダマ団子・メダマ団子・メーダマ団子などとも呼ばれる。繭玉団子は粳米の粉を湯でこねて、球形、中央のくびれた繭の形、自分の家で作る作物(野菜など)の形の団子などを作り、蒸籠で蒸す。この行事の本来の意味は、養蚕の豊作祈願を意味するもので、正月にその年に行なう養蚕の豊作をあらかじめ祝う予祝行事(よしゅくぎょうじ)である。
 繭玉団子を刺す枝は家により異なり、けやきや柳などを用いる。枝に刺す繭玉団子の数は奇数とされ、神様によって数は異なる。家によっては団子の数を奇数でなく偶数にする家もある。特に荒神様には子供が三六人いるので三六個供えるという。一番立派な飾りは、その家により歳神様・大神宮様・床の間・ホウソウ神などとさまざまである。また、家によっては紅を入れ、美しい紅白の団子を作る。
 本田のある家では、一四日に繭玉団子を作り、大神宮様・荒神様・井戸神様などの神様に供える。繭玉団子は柳の枝に刺し、丸い団子や繭の形に仕上げる。このとき大黒柱には一番大きな繭玉団子を縛り付ける。飾り付ける団子の数は七~九などの奇数にする。繭玉団子は一五日に下げ、砂糖醤油で煮て食べたり、畑仕事のお茶のときにお茶菓子として食べた。

3-17 繭玉団子(須賀上 I家)


3-18 繭玉団子(内野 N家)


3-19 繭玉団子(須賀上 I家)


3-20 繭玉団子(本田 H家)

 西粂原のある家では、一四日にメエダマ団子(米の粉の団子)を作って木の枝に刺し、大神宮様に飾った。一五日の朝にはメエダマ団子を下ろし、オカユ(小豆粥)の中に数個入れる。残ったメエダマ団子はふかし直して、砂糖醤油にからめて食べた。
 西粂原のある家では、一四日にメダマ団子をソロの枝に刺し、繭がいっぱい穫れますようにと願って大神宮様、仏様、恵比寿・大黒様、荒神様、稲荷様に上げた。メダマ団子の形は球形である。この団子を作るときには、本来は暮れに餅を搗いたときのモチアゲコ(餅とり粉)をとっておいてこれで作るものといわれている。養蚕を行っていたころにはメダマ団子を作ったが、昭和二五年に養蚕を止めてからは作らなくなった。
 西粂原のある家では、今でもメーダマ団子を供えている。団子を刺す枝にはソロの木は枝数が多いので、裏庭から採ってきて用いる。供える所は一番目に大神宮様、二番目に床の間、三番目に荒神様、四番目に恵比寿様、そして順番は決まってないが仏様、俵神様、観音様、井戸神様、稲荷様の九か所である。家の内部の神に供えてから、外の神様に供える。荒神様は子供が三六人いるので三六個供え、そのほかの神様は数個から三〇個くらい供えた。しかし、荒神様もほかの神も今は団子の数を少なくし、荒神様は一本に一〇個くらい刺したものを二本、ほかの神も五~七個にしている。ウルチは一年前に寒ザラシしたものを使う。繭を作っていた四〇年前は繭の豊作を願って繭の形に作っていた。今は球型にして、五穀の豊作、家族の健康を祈って作っている。メーダマ団子は女の人が作り、翌日の朝に小豆粥に入れて食べる。メーダマを取ったあとの木は、稲荷様の脇へ束ねておいておくと自然に枯れてしまう。
 逆井のある家では、一四日の朝、繭玉団子を作った。繭玉団子のことをメエダマ団子ともいう。繭玉団子はナラの枝に刺して飾り、大神宮様は二六個、荒神様は三六個、オエビス様には二〇日が恵比寿講なので二〇個、稲荷様には一二個の団子を刺して飾った。団子を刺す枝に、団子がよくぶら下がるようにと柳の枝を用いる家もある。この団子は翌日の小豆粥に入れる。
 内野のある家では、一四日の朝、前日に用意したケヤキの枝に繭玉団子を刺して神様に飾る。団子は米の粉を沸騰した湯で溶いて、かきまわしてよくデッチル(こねる)。団子は球形で、子供が小さいときにはきれいにするため食紅を使って、紅白の団子を作って飾ったこともあった。繭玉団子は屋内の神様に供え、一番立派なものは大神宮様と歳神様の棚前のナゲシに枝が下がるように何十個もの団子を刺した。また、歳神様には他の神様より大きめの団子を一二個飾る。下げた団子は一五日の小豆粥の中に入れて食べたり、お茶うけに食べる。団子を刺したケヤキの枝は燃やして、粗末にしないようにその灰は木の根元にまく。
 須賀下のある家では、一四日にメエダマ団子を作り、大神宮様・荒神様・井戸神様・稲荷様などの神様に供える。メエダマ団子はナラの木の枝に刺す。団子は球形のものや養蚕をやっていたころには繭の形のように中央部分を少し窪めた団子も作った。また、近年ではぶどう栽培を行っているのでぶどうの形に作る。歳神様のメエダマ団子は他の神様よりも大きく丸めたものを一二個枝に刺して飾る。俵神様は物置に祀っているので、何段にも重ねた俵の上にメエダマ団子を飾った。現在では米を入れる缶の上に飾る。ほかの神様に飾り付ける団子の数は特に決まっていないが、奇数の一一個や一五個刺して供える。メエダマ団子は一四日の晩に下げる。これで正月の行事は終わる。下げた団子は砂糖醤油で食べる。歳神様の大きなメエダマ団子は四つ割りにして、一五日の小豆粥に入れたり、焼き団子、イビリ団子にして歳神様の護符として食べた。一四日に正月になって初めて丸い物を作るので、この日までは丸い物(団子など)を作ってはいけないという。
 山崎のある家では、一四日にメイダマ団子を作らないで近所で作ったものをもらい、二八日にあんでくるんだ甘い団子を作り、一四日にいただいた家にお返しする。