宮代町立図書館/宮代町デジタル郷土資料

宮代町史 民俗編

第二章 生産生業

第一節 農業

四 養蚕

(三)養蚕の工程

[養蚕の工程]

 掃き立ては、孵化した蚕を蚕座に掃き下ろす作業である。
 蚕座は、エビラと称する四角い籠(図4)に蚕座紙(ハトロン紙)を敷いたもので、エビラは籠屋、蚕座紙は荒物屋から購入された。孵化した蚕は蚕卵紙に付着しているので、この上に細かく刻んだ桑の葉を散らし、蚕が桑の葉に食いついたところを鳥羽の刷毛でていねいに掃き下ろす。これを2-18のように蚕棚に差し、ここで四齢まで飼育した。

図4 エビラ


2-18 蚕棚に蚕座を差したようす(郷土資料館)

 掃き立て直後は蚕座の枚数が少なく、蚕棚はその一部が使用されるのみである。その後、蚕が眠から起きるたびに蚕座は広げられ、四齢期には棚いっぱいに蚕座が広がった。
 蚕座を広げるには、カイコアミ(2-19)が使用された。カイコアミは木綿糸の網に渋を塗ったもので、蚕の成長に合わせて目の異なるものが数種類あった。西粂原のY家で使用されたカイコアミは、目の大きさが三×五ミリ、七×八ミリ、一二×一三ミリ、一五×一五ミリ、二〇×二〇ミリの五種類があり、最も小さいものは掃き立て直後の稚蚕用、最も大きいものは五齢用とされた。作業の手順は、まず蚕座に二枚のカイコアミを並べて被せて、その上に桑の葉を散らす。すると、蚕が網の目を潜って桑に食いつくので、これを網ごと持ち上げて二枚の蚕座に移した。

2-19 カイコアミ

 カイコアミは、成長の異なる蚕を分けるのにも用いられた。蚕は、桑の食べ方によって成長に遅速が生じるので、眠から起きた時点でカイコアミを被せて桑の葉を散らし、網の目を潜って桑の葉に食いつく蚕と、網の下で動かない眠中の蚕を分けたのである。