宮代町立図書館/宮代町デジタル郷土資料

宮代町史 通史編

第三編 近世

第三章 笠原沼の開発

第三節 用水路と排水路の整備

 近世の水田の開発には、用水や排水の整備が伴うことが多い。水路の整備ばかりではなく、様々な施設を設置している。水田に水を引くためには、用水源を確保しなければならない。用水源としての施設には、溜池、溜井が上げられよう。
 溜池や溜井は、自然の地形を利用して土手を築くことが多い。三方を山や台地に囲まれた土地の下流部に土手を築いて水を溜める方法と川や用水に堰を築いて水を溜める方法がある。これらの大規模になったものが、今日のダムである。
 溜井などに用いられる堰は、杭を打ち、土嚢(どのう)を積むものと枠を組み、板でせき止める方法がある。土嚢を積む方法は、大規模に用水を引く場合が多く、恒常的に水を溜める必要がある場所に用いられる。板でせき止める方法は、簡易な方法で、臨時的な場所に設置されることが多い。
 溜井や川から用水へ水を引くためや川へ排水するための施設が圦樋(いりひ)である。圦樋は、木製の樋や管を堤に埋め込み、水を引く必要のない時期には、栓がしてある。
 用排水の整備が進むと、川や用排水が交差する場合がある。
 このような場所には、伏越(ふせこし)や掛渡井(かけどい)が設置される。伏越は、川や用排水の下を流すため、木製の樋を埋め込み、交差させ、樋が浮き上がらないように土橋などを設置することもある。掛渡井は、川や用排水の上に木製の樋を渡して交差させる。伏越と併用されることもある。
 これらの施設は、今ではコンクリート製に変わってしまったが、江戸時代には木や竹、草、土などを利用した設置されたものであったため、耐用年数は短いものであった。形は変わっても当時の工事の様子を知ることのできる施設は、今でも町のあちらこちらで見ることができる。

3-72 上野田の伏越