宮代町立図書館/宮代町デジタル郷土資料

宮代町史 通史編

第二編 中世

第四章 中世の寺社と信仰

第四節 石造供養塔の造立

五輪塔は、密教において創始された塔形で、上から団形、半月、三角、円、方から成る。この五輪は空、風、火、水、地の五大を表わしている。
 構造・形式は、下から方形の地輪、球形の水輪、宝形造の火輪、半球形の風輪、宝珠形の空輪を積み上げるのが石造五輪塔の形式で、空輪と風輪は小さいものであり、一石から彫成されているのが普通である。団形、半月、三角、円、方から構成されるとは教理上からの説明であって、石造の場合、史実に三角の火輪にしたものもまれにあるが、大多数は宝形造である。
 五輪塔は、密教において胎蔵界(たいぞうかい)大日如来の三昧耶形(さんまやぎょう)とされ、五輪塔形そのものが胎蔵大日を象徴するものである。五輪塔には、梵字や造立年月、造立者などを全く彫刻しないものもあるが、各輪の四方に発心門、修行門、菩提門、涅槃門(ねはんもん)の四門の梵字を配して刻んでいる。四門の梵字は「キャ、カ、ラ、バ、ア」の五大の種子の四転になっているが、この四門の徳を表わす仏は「ア、アー、アン、アク」の胎蔵界四仏であるから、五輪塔を胎蔵界大日の三昧耶形とする教理に合致している。五大の種子を用いながら、正面だけに発心門の「キャ、カ、ラ、バ、ア」をあらわし、ほかの三方無地のものや、四方とも発心門の五大種子を刻んだものもある。水輪に弥陀の種子「キリーク」一字を刻んだ例は阿弥陀信仰による造塔で、『法然聖人絵』に、弥陀種子の五輪石塔が描かれている。梵字の代わりに「空、風、火、水、地」の漢字を各輪に表わすようになるのは室町時代中期ごろからであり、近世には数多くなる。
 埼玉県内の鎌倉時代に造立された五輪塔は、武蔵武士の墓塔となっている。町内における五輪塔は、2-66のようになる。また、造立年次などが刻まれているのは、次の二基である。
  ①五輪塔地輪(青林寺)「□録五年□月日 □□禅門」
  ②五輪塔地輪(青林寺)「長禄(ちょうろく)三年乙卯七月」(一四五九年)

2-66 五輪塔一覧