宮代町立図書館/宮代町デジタル郷土資料

宮代町史 通史編

第一編 原始・古代

第三章 潮騒が聞こえる

第二節 生産用具

縄文人が直接生産活動に使ったと思われる道具についてお話をしてきたが、その他にもたくさんの道具を彼らは使っていた。ここではものを作り出すときに使われる、工具について考えてみよう。
 もともと、縄文人の道具箱の中にある道具は極めて多目的に使われたと考えられており、何をもって工具とするのかという定義などはないし、定義付けをするような性格のものではない。しかし、彼らは、極めて巧みに木材加工を行っていたらしいことが分かってきた。木を伐採し住居の柱とし、木をくりぬいて丸木舟を作る。刳(く)り物の椀や片口の鉢、精巧な彫刻を施した飾り弓などである。木材の伐採には磨製石斧が使われたと考えられる。丸木舟や刳り物の椀などを作るには、削る部分を焼いて炭化した部分を削り取ったと考えられている。これには小型の磨製石斧が手斧(ておの)として使われたことが推測される。その手斧のソケット型の柄を作るための鑿(のみ)も存在する。磨製石斧として一括される石器の中にはさまざまな機能を持つものが存在していたのである。
 また、縄文人は、ヒスイやメノウなどの堅い石に穴をあけてペンダントやイヤリングにしている。しかも直径数ミリの小さな穴である。石に穴をあけるためにはどのような道具が使われたのだろうか。実は竹ひごのようなものが使われたのではないかと考えられている。湿らせた竹ひごに細かな石英砂(せきえいさ)をまぶし、ひごに弓を掛けて回転させて穴をあけたと推測されているのである。イヤリングといえば、縄文時代後期から晩期にかけて、極めて精緻(せいち)な透かし彫り(すかしぼり)を施した土製のイヤリングが存在する。この透かし彫りの彫刻は、生乾きの粘土を削って彫られているのだが、弾性に欠ける石の道具ではなし得ない技である。これにも竹を薄く削った彫刻刀が使われたと考えられる。縄文人は、自然界に存在するあらゆる素材を道具として加工し、使っていたとみるべきだと述べたが、彼らの使用していた工具の復元は非常に難しい問題である。今後の研究によって当時の加工技術などが、より鮮明にとらえられるときが来ることを期待したい。