鶴ヶ島市立図書館/鶴ヶ島市デジタル郷土資料

「鶴ヶ島町史」通史編

通史編

第一編 鶴ヶ島の自然

第三章 植物の世界

第一節 鶴ケ島に残る植物――現存植生

 緑は、人々に潤いや安らぎの場を与えるとともに、大気の浄化や気候の緩和、水資源のかん養、土地の保全など様々な機能を持ち、人間が生活を営み、よりよい快適な生活環境を維持するうえで欠くことができない。
 埼玉県が昭和五五年に「身近な緑の現況調査」を行い、植物と水面で覆われた地表面を緑被地とし、航空写真の判読に基づいて面積集計を行った。鶴ケ島町については表―4のようになっている。
hyo表1-4 鶴ケ島町緑被状況(昭和55年)
 森や林や草原などの植物群落と呼ばれるような自然と、学校、工場、家庭の植樹地のような緑は同じでないけれども、この表から鶴ケ島町の現在の植物の世界の状況を、おおづかみに把握することができると思う。
 わが国は温暖、多雨な気候に恵まれ、海岸、川原、高山などの一部の特別な場所を除いては森林が成立する力を持っている。鶴ケ島町を含め、日本の本来の植物的自然は森林であり、日本の自然は森林に覆われていた。その後、長い年月にわたる様々な人間の生活活動に伴って、自然が次第に改変され、鶴ケ島町では緑被地が全体の六四・八パーセント、非緑被地が三五・二パーセントになっている。
 人間の手が入る前の自然の森林(原植生)はどのような森林であったのだろうか。アカマツ林やコナラ林などの雑木林は、人間のどのようなかかわり合いで成立し、維持されてきたのだろうか。スギやヒノキの人工林、クリや茶、クワ等の樹園地、水田、畑地、宅造地等は、それぞれ特有の管理が行われている。それらの人間の管理に巧みに適応し、そこを生活場所としている植物たちの姿はどのようなものだろうか。以上のような植物の世界に生きる植物たちの生活に注目しながら、まず、現在の植生の概況を見ることとしよう。