さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

底流

 
襟あしの        うづくまる       地に低く        蝉殻に         
口径の         遠き雲の        犬と歩み        噴水に         
よりどなく       忘れたる        
 
 
 

10801
襟あしの 荒れたる感じ 身に残る 楡のこずゑの 風凪ぐときに
エリアシノ アレタルカンジ ミニノコル ニレノコズヱノ カゼナグトキニ

『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13


10802
うづくまる いづこもわれの 流刑地 草抜けば草の 臭ひがのぼる
ウヅクマル イヅコモワレノ リュウケイチ クサヌケバクサノ ニオヒガノボル

『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13


10803
地に低く 視線向く日と さびしみて 枇杷の花散る ところを過ぎて
チニヒクク シセンムクヒト サビシミテ ビワノハナチル トコロヲスギテ

『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13


10804
蝉殻に 残る筈なき 生きものの ほてりを呼びて てのひらに乗す
セミガラニ ノコルハズナキ イキモノノ ホテリヲヨビテ テノヒラニノス

『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13


10805
口径の かすかに一つ 一つ違ふ ワインのグラス 伏せてゆくとき
コウケイノ カスカニヒトツ ヒトツチガフ ワインノグラス フセテユクトキ

『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13


10806
遠き雲の 地図を探さむ この町を のがれむといふ 妹のため
トオキクモノ チズヲサガサム コノマチヲ ノガレムトイフ イモウトノタメ

『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13


10807
犬と歩み くまぐまを知れる 川原に 今朝はまだらに 雪の積もれる
イヌトアユミ クマグマヲシレル カワハラニ ケサハマダラニ ユキノツモレル

『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13


10808
噴水に 遠くはなれし 池のはた 動かぬ水は 雲を映せり
フンスイニ トオクハナレシ イケノハタ ウゴカヌミズハ クモヲウツセリ

『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13


10809
よりどなく 風に揉まれゐし 糸杉の 大き影なす 陽の入りぎはに
ヨリドナク カゼノモマレヰシ イトスギノ オオキカゲナス ヒノイリギハニ

『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13


10810
忘れたる ころに一つづつ 咲く薔薇を 思ひやさしく なりて眠りつ
ワスレタル コロニヒトツヅツ サクバラヲ オモヒヤサシク ナリテネムリツ

『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13