さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

朱扇

 
少し威張つて      上ずりて        表情も         模範靑年と       
姉の如く        徒食する        せめて優き       
 
 
 

10390
少し威張つて 見たいのならむと 思直し 書類整理を 又始めたり
スコシイバツテ ミタイノナラムト オモイナオシ ショルイセイリヲ マタハジメタリ

『朱扇』(朱扇社 1952.6) 第4巻6号 p.2


10391
上ずりて 又電話かくる 女の聲す ひねもす何に いらだつ我ぞ
ウハズリテ マタデンワカクル オンナノコエス ヒネモスナニニ イラダツワレゾ

『朱扇』(朱扇社 1952.6) 第4巻6号 p.2


10392
表情も とがりゐむ我か いとまなき 應待を一日 續けし夕べ
ヒョウジョウモ トガリヰムワレカ イトマナキ オウタイヲイチニチ ツヅケシユウベ

『朱扇』(朱扇社 1952.6) 第4巻6号 p.2


10393
模範靑年と 言はれて苦學 する汝の 秘むる思想も 我は知り居り
モハンセイネント イハレテクガク スルナレノ ヒムルシソウモ ワレハシリオリ

『朱扇』(朱扇社 1952.6) 第4巻6号 p.2


10394
姉の如く 告白を聞きて やりながら 少し惹かれて ゐると思へり
アネノゴトク コクハクヲキキテ ヤリナガラ スコシヒカレテ ヰルトオモヘリ

『朱扇』(朱扇社 1952.6) 第4巻6号 p.2


10395
徒食する 階級を憎むと 言ひし汝よ 傘さしかけて 歸してやりぬ
トショクスル カイキュウヲニクムト イヒシナンジヨ カササシカケテ カエシテヤリヌ

『朱扇』(朱扇社 1952.6) 第4巻6号 p.2


10396
せめて優き 少女見つけて 添はせたし 雨に濡れて歸る 汝が後姿よ
セメテヤサシキ ショウジョミツケテ ソハセタシ アメニヌレテカエル ナンジノウシロデヨ

『朱扇』(朱扇社 1952.6) 第4巻6号 p.2