さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

朱扇

 
昨日の願ひ       用心深く        倒れたる        娘等二人        
俯向きて        夜に入りて       醉ひておそく      要領よく        
日照り雨の       
 
 
 

10347
昨日の願ひ 今日は崩るる 生活にて 思ひ切りよく なりたり我も
キノウノネガヒ キョウハクズルル セイカツニテ オモヒキリヨク ナリタリワレモ

『朱扇』(朱扇社 1951.11) 第3巻11号 p.3


10348
用心深く 言葉少なに 振舞へば 嫁の位置にも 慣れ得る如し
ヨウジンブカク コトバスクナニ フルマヘバ ヨメノイチニモ ナレエルゴトシ

『朱扇』(朱扇社 1951.11) 第3巻11号 p.3


10349
倒れたる ダリアを起す 事もなし 野分だつ日日を 病み續けつつ
タオレタル ダリアヲオコス コトモナシ ノワキダツヒビヲ ヤミツヅケツツ

『朱扇』(朱扇社 1951.11) 第3巻11号 p.3


10350
娘等二人 學成りて北の ふるさとへ 歸る日のみ母は 描き居給ふ
ムスメラフタリ ガクナリテキタノ フルサトヘ カエルヒノミハハハ エガキイタマフ

『朱扇』(朱扇社 1951.11) 第3巻11号 p.3


10351
俯向きて 夫の怒りに 堪へてをり 言ひ分は我も 秘めてもちつつ
ウツムキテ ツマノイカリニ タヘテヲリ イヒブンハワレモ ヒメテモチツツ

『朱扇』(朱扇社 1951.11) 第3巻11号 p.3


10352
夜に入りて 焦てる君は 本棚の 配置など變へて 見むとするらし
ヨニイリテ イラダテルキミハ ホンダナノ ハイチナドカヘテ ミムトスルラシ

『朱扇』(朱扇社 1951.11) 第3巻11号 p.3


10353
醉ひておそく 歸れる夫の 表情の 寂しげなれば 立ちて寄りゆく
ヨヒテオソク カエレルツマノ ヒョウジョウノ サビシゲナレバ タチテヨリユク

『朱扇』(朱扇社 1951.11) 第3巻11号 p.3


10354
要領よく 振舞ふ友も 許すべし 尾花そよぐ道を ひとり歸りぬ
ヨウリョウヨク フルマフトモモ ユルスベシ オバナソヨグミチヲ ヒトリカエリヌ

『朱扇』(朱扇社 1951.11) 第3巻11号 p.3


10355
日照り雨の 縞を縫ひつつ 舞ふ落葉 林の道を 濡れて急ぎぬ
ヒデリアメノ シマヲヌヒツツ マフオチバ ハヤシノミチヲ ヌレテイソギヌ

『朱扇』(朱扇社 1951.11) 第3巻11号 p.3