さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

朱扇

 
聲の限り        もつと廣く       紛れては        長き未來        
われの知らぬ      餘裕得なば       久し振に        幾種かの        
 
 
 

10339
聲の限り 呼びたきみ名も ある如し 谷越えて近き 山のなだりよ
コエノカギリ ヨビタキミナモ アルゴトシ タニコエテチカキ ヤマノナダリヨ

『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3


10340
もつと廣く 視野を開きて 生き行かむ 遠く相模の 海光るなり
モツトヒロク シヤヲヒラキテ イキユカム トオクサガミノ ウモヒカルナリ

『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3


10341
紛れては 歌も口吟む 日々なれと 何時か區切は つけねばならず
マギレテハ ウタモクチズサム ヒビナレト イツカクギリハ ツケネバナラズ

『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3


10342
長き未來 思ひて決むる 身の振りを 打算と言はれなば 涙溢れむ
ナガキミライ オモヒテキムル ミノフリヲ ダサントイハレナバ ナミダアフレム

『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3


10343
われの知らぬ 喜びもあらむか 山奥に 炭燒きて獨り 住める翁よ
ワレノシラヌ ヨロコビモアラムカ ヤマオクニ スミヤキテヒトリ スメルオキナヨ

『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3


10344
餘裕得なば 鍵しめて一人 蘢るべき 室を持たむと 思ふ何時より
ユトリエナバ カギシメテヒトリ コモルベキ ヘヤヲモタムト オモフイツヨリ

『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3


10345
久し振に 逢ひし教へ子 わが厭ふ タイプの青年と なりゆく如し
ヒサシブリニ アヒシオシヘゴ ワガキラフ タイプノセイネント ナリユクゴトシ

『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3


10346
幾種かの 罐詰をひそかに 買ひておく 我に許さるる 富も小さく
イクシュカノ カンヅメヲヒソカニ カヒテオク ワレニユルサルル トミモチイサク

『朱扇』(朱扇社 1951.10) 第3巻10号 p.3