さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

朱扇

 
カルメンの       學閥の         疑はず         薄命の         
貧しきに        爭ひつつ        百羽程         必要な         
養鶏を         勤めもつ        
 
 
 

10285
カルメンの やうな女と 言はれつつ 寂しき性の 友と知るなり
カルメンノ ヤウナオンナト イハレツツ サビシキサガノ トモトシルナリ

『朱扇』(朱扇社 1951.5) 第3巻5号 p.3


10286
學閥の ことに觸れゆく 友の言葉 獨學ゆゑに 苦しむらしも
ガクバツノ コトニフレユク トモノコトバ ドクガクユヱニ クルシムラシモ

『朱扇』(朱扇社 1951.5) 第3巻5号 p.3


10287
疑はず われに倚りくる 友を迎へ きざむ木の芽の 香にたつ夕べ
ウタガハズ ワレニヨリクル トモヲムカヘ キザムコノメノ カニタツユウベ

『朱扇』(朱扇社 1951.5) 第3巻5号 p.3


10288
薄命の ヒロインを描ける 短編よ 書き終へて君の寝入し夜明け
ハクメイノ ヒロインヲエガケル タンペンヨ カキオヘテキミノ ネイリシヨアケ

『朱扇』(朱扇社 1951.5) 第3巻5号 p.3


10289
貧しきに 病む我のため通俗 小説も 書きて賣らむと 君はし給ふ
マズシキニ ヤムワレノタメツウゾク ショウセツモ カキテウラムト キミハシタマフ

『朱扇』(朱扇社 1951.5) 第3巻5号 p.3


10290
爭ひつつ 既に離れ難き 二人よ 病めば頻りに我名 呼びて寝給ふ
アラソヒツツ スデニハナレガタキ フタリヨ ヤメバシキリニワガナ ヨビテネタマフ

『朱扇』(朱扇社 1951.5) 第3巻5号 p.3


10291
百羽程 鶏飼ひて子等を 養ふと かごの鶏卵を 友は示しつ
ヒャッパホド ケイカヒテコラヲ ヤシナフト カゴノケイランヲ トモハシメシツ

『朱扇』(朱扇社 1951.5) 第3巻5号 p.3


10292
必要な 空地だになしと 言ひて別れぬ 養鶏を頻りに 勸むる友よ
ヒツヨウナ アキチダニナシト イヒテワカレヌ ヨウケイヲシキリニ ススムルトモヨ

『朱扇』(朱扇社 1951.5) 第3巻5号 p.3


10293
養鶏を すすめられし夜 幾百羽に 取り巻かれたる 夢も見てゐし
ヨウケイヲ ススメラレシヨ イクヒャッバニ トリマカレタル ユメモミテヰシ

『朱扇』(朱扇社 1951.5) 第3巻5号 p.3


10294
勤めもつ ことも重荷と なる如し つくろひ物に 夜を疲れつつ
ツトメモツ コトモオモニト ナルゴトシ ツクロヒモノニ ヨヲツカレツツ

『朱扇』(朱扇社 1951.5) 第3巻5号 p.3