さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

朱扇

 
諦めて         誇り捨てゝ       前身を         母病むとふ       
打開策の        それぞれに       諦めの         みごもりし       
 
 
 

10201
諦めて ゐるとも言ひぬ 未歸還の 夫持つ友は ややすてばちに
アキラメテ ヰルトモイヒヌ ミキカンノ ツマモツトモハ ヤヤステバチニ

『朱扇』( 1950.7) 第2巻7号 p.3


10202
誇り捨てゝ 身を落しゆく 女がむしろ 羨しといふ 友も貧しく
ホコリステテ ミヲオトシユク オンナガムシロ ウラヤマシトイフ トモモマズシク

『朱扇』( 1950.7) 第2巻7号 p.3


10203
前身を 秘めて住みつきし 隣室の 女に今宵 客のけはひす
ゼンシンヲ ヒメテスミツキシ リンシツノ オンナニコヨイ キャクノケハヒス

『朱扇』( 1950.7) 第2巻7号 p.3


10204
母病むとふ 手紙を出して 讀み返す 夜更けては又 降り出づる雨
ハハヤムトフ テガミヲダシテ ヨミカエス ヨフケテハマタ フリイヅルアメ

『朱扇』( 1950.7) 第2巻7号 p.3


10205
打開策の なきままに日は 過ぎてゆく 市營住宅も 當らざりけり
ダカイサクノ ナキママニヒハ スギテユク シエイジュウタクモ アタラザリケリ

『朱扇』( 1950.7) 第2巻7号 p.3


10206
それぞれに 哀歓もちて ゆくならむ 夕べの街を 急ぐ人らも
ソレゾレニ アイカンモチテ ユクナラム ユウベノマチヲ イソグヒトラモ

『朱扇』( 1950.7) 第2巻7号 p.3


10207
諦めの 中にも安息は あるなどと 夫に去られし 友の云ふかも
アキラメノ ナカニモアンソクハ アルナドト ツマニサラレシ トモノイフカモ

『朱扇』( 1950.7) 第2巻7号 p.3


10208
みごもりし ままに嫁ぐとふ 敎へ子の 噂も傳へて 客は歸りぬ
ミゴモリシ ママニトツグトフ オシヘゴノ ウワサモツタヘテ キャクハカエリヌ

『朱扇』( 1950.7) 第2巻7号 p.3