さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

歌と随筆

 
シヨパンひそかに    マルクスを       わが窓の        郷愁に         
獨り居て        あだめきて       むしろ惡に       
 
 
 

10147
シヨパンひそかに 鳴れる茶房は 晝たけて 花ある卓に 吾ら對ひつ
シヨパンヒソカニ ナレルサボウハ ヒルタケテ ハナアルタクニ ワレラソロヒツ

『歌と随筆』(蒼明社 1949.6) 第4巻5号 p.15


10148
マルクスを 讀めどもこれも 究極の 吾の倚るべき 哲理ならなく
マルクスヲ ヨメドモコレモ キュウキョクノ ワレノヨルベキ テツリナラナク

『歌と随筆』(蒼明社 1949.6) 第4巻5号 p.15


10149
わが窓の 棕梠の芽吹きの しるき頃を しみじみ吾は 住み難く居り
ワガマドノ シュロノメブキノ シルキコロヲ シミジミワレハ スミガタクオリ

『歌と随筆』(蒼明社 1949.6) 第4巻5号 p.15


10150
郷愁に おぼるる宵の 街かどよ 沈丁花など 時に匂ひて
キョウシュウニ オボルルヨイノ マチカドヨ ジンチョウゲナド トキニニオヒテ

『歌と随筆』(蒼明社 1949.6) 第4巻5号 p.15


10151
獨り居て 思ひは切に 渇く夜を しとしとと雨は 屋根濡らすらし
ヒトリイテ オモヒハセツニ カワクヨヲ シトシトトアメハ ヤネヌラスラシ

『歌と随筆』(蒼明社 1949.6) 第4巻5号 p.15


10152
あだめきて タンゴ舞ひたき 願ひなど しきりに湧くも 寂しさの果て
アダメキテ タンゴマヒタキ ネガヒナド シキリニワクモ サビシサノハテ

『歌と随筆』(蒼明社 1949.6) 第4巻5号 p.15


10153
むしろ惡に 憑かれなば易く 生き得んか かく思ふ夜を 斷ちて寝んとす
ムシロアクニ ツカレナバヤスク イキエンカ カクオモフヨヲ タチテネントス

『歌と随筆』(蒼明社 1949.6) 第4巻5号 p.15