さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

歌と随筆

 
摘まれては       匂ひ淡き        ま近くは        視線の         
溷濁の         激流に         激情は         ぎりぎりに       
人界の         かくて又        
 
 
 

10059
摘まれては いよいよ香る 花ならむ 君に摘まるゝ 吾はうれしゑ
ツマレテハ イヨイヨカオル ハナナラム キミニツマルル ワレハウレシヱ

『歌と随筆』(蒼明社 1947.3) 第2巻3号 p.10


10060
匂ひ淡き 花も摘まるゝ さだめとふ わが宿命こそ 哀しきろかも
ニオヒアワキ ハナモツマルル サダメトフ ワガサダメコソ カナシキロカモ

『歌と随筆』(蒼明社 1947.3) 第2巻3号 p.10


10061
ま近くは 共に住むべき 契りなれ 君を見ぬ日は さびしかりけり
マヂカクハ トモニスムベキ チギリナレ キミヲミヌヒハ サビシカリケリ

『歌と随筆』(蒼明社 1947.3) 第2巻3号 p.10


10062
視線の 合へばはかなく そらすこと 幾たびかせし 今日の日中に
マナザシノ アヘバハカナク ソラスコト イクタビカセシ キョウノヒナカニ

『歌と随筆』(蒼明社 1947.3) 第2巻3号 p.10


10063
溷濁の 現し世なれど わが戀は ひとつこゝろに とほれるものを
コンダクノ ウツシヨナレド ワガコイハ ヒトツココロニ トホレルモノヲ

『歌と随筆』(蒼明社 1947.3) 第2巻3号 p.10


10064
激流に おしながされて とめどなき 木の葉か君に 憑かれし吾は
ゲキリュウニ オシナガサレテ トメドナキ コノハカキミニ ツカレシワレハ

『歌と随筆』(蒼明社 1947.3) 第2巻3号 p.10


10065
激情は むしろさびしき 靜寂と つのる思ひは 斷ちてねむるべし
ゲキジョウハ ムシロサビシキ セイジャクト ツノルオモヒハ タチテネムルベシ

『歌と随筆』(蒼明社 1947.3) 第2巻3号 p.10


10066
ぎりぎりに 堪へてぞ睡る この願 遂げ得ざりせば 死ぬべし吾は
ギリギリニ タヘテゾネムル コノネガイ トゲエザリセバ シヌベシワレハ

『歌と随筆』(蒼明社 1947.3) 第2巻3号 p.10


10067
人界の 果ての寂しさに 吾は沈めど 陰影はやがて 流れゆくべし
ジンカイノ ハテノサビシサニ ワレハシズメド インエイハヤガテ ナガレユクベシ

『歌と随筆』(蒼明社 1947.3) 第2巻3号 p.10


10068
かくて又 明日はありとふ 確信は せめて今宵の ねむりいざなふ
カクテマタ アシタハアリトフ カクシンハ セメテコヨイノ ネムリイザナフ

『歌と随筆』(蒼明社 1947.3) 第2巻3号 p.10