さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

オレンヂ

 
空の果て        眼交ひの        灯ともれば       殘されし        
雨の日の        うす紅き        
 
 
 

10010
空の果て 空につゞきて よるべなき 蜻蛉ぞひとつ 流れたゞよふ
ソラノハテ ソラニツヅキテ ヨルベナキ アキツゾヒトツ ナガレタダヨフ

『オレンヂ』(香燈社 1946.11) 第1巻1号(通巻1号) p.30


10011
眼交ひの 事象を超えて 星ひとつ 呼ぶさへむなし 遠きこゝろは
マナカヒノ ジショウヲコエテ ホシヒトツ ヨブサヘムナシ トオキココロハ

『オレンヂ』(香燈社 1946.11) 第1巻1号(通巻1号) p.31


10012
灯ともれば 花にも淡き 靜脈の 透けてはかなく 見えそめにつゝ
ヒトモレバ ハナニモアワキ ジョウミャクノ スケテハカナク ミエソメニツツ

『オレンヂ』(香燈社 1946.11) 第1巻1号(通巻1号) p.31


10013
殘されし 獨りの母の み部屋ゆゑ わが活くる花よ 明るく咲けよ
コノサレシ ヒトリノハハノ ミヘヤユヱ ワガイクルハナヨ アカルクサケヨ

『オレンヂ』(香燈社 1947.1) 2号 p.27


10014
雨の日の 窓に羽叩き しげくゐる 黄の蝶よすでに 吾は疲れぬ
アメノヒノ マドニハバタキ シゲクヰル キノチョウヨスデニ ワレハツカレヌ

『オレンヂ』(香燈社 1947.1) 2号 p.27


10015
うす紅き 花咲ける藻の 流れゐて いつ根ざすとふ そぞろ心よ
ウスオカキ ハナサケルモノ ナガレヰテ イツネザストフ ソゾロココロヨ

『オレンヂ』(香燈社 1947.1) 2号 p.27