さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

おおみや

 
こだはりて       公園の         足もとの        荷の幾つ        
身を隠す        思はざる        苦しみも        洋傘へ         
心臓の         絨緞に         
 
 
 

09925
こだはりて わが在るものを 雨のあと 癒えたるごとき 空がひろがる
コダハリテ ワガアルモノヲ アメノアト イエタルゴトキ ソラガヒロガル

『おおみや』(大宮名店会 1975.12) 60号 p.49


09926
公園の 柵を出づれば 風の辻 白鳥ならぬ 身はバスを待つ
コウエンノ サクヲイヅレバ カゼノツジ ハクチョウナラヌ ミハバスヲマツ

『おおみや』(大宮名店会 1975.12) 60号 p.49


09927
足もとの 枯れ草に火は 放つとも 熔けず残らむ わが石一つ
アシモトノ カレクサニヒハ ハナツトモ トケズノコラム ワガイシヒトツ

『おおみや』(大宮名店会 1975.12) 60号 p.49


09928
荷の幾つ 殖やししのみに 帰りゆく 沙羅の落ち葉の まばらを踏みて
ニノイクツ フヤシシノミニ カエリユク サラノオチバノ マバラヲフミテ

『おおみや』(大宮名店会 1975.12) 60号 p.49


09929
身を隠す すべを思へる ときのまに 信号は青に かはりてしまふ
ミヲカクス スベヲオモヘル トキノマニ シンゴウハアオニ カハリテシマフ

『おおみや』(大宮名店会 1975.12) 60号 p.49


09930
思はざる 遠くまで見ゆる 日のありて いまだ木立の 多きこの町
オモハザル トオクマデミユル ヒノアリテ イマダコダチノ オオキコノマチ

『おおみや』(大宮名店会 1975.12) 60号 p.49


09931
苦しみも 過ぎて思へば きれぎれに 見たるドラマの 画面の如き
クルシミモ スギテオモヘバ キレギレニ ミタルドラマノ ガメンノゴトキ

『おおみや』(大宮名店会 1975.12) 60号 p.49


09932
洋傘へ 集まる夜の 雨の音 さびしき音を 家まではこぶ
ヨウガサヘ アツマルヨルノ アメノオト サビシキオトヲ イエマデハコブ

『おおみや』(大宮名店会 1975.12) 60号 p.49


09933
心臓の かたちといふを ゑがきたり 動悸して闇に 目ざめゐしとき
シンゾウノ カタチトイフヲ ヱガキタリ ドウキシテヤミニ メザメヰシトキ

『おおみや』(大宮名店会 1975.12) 60号 p.49


09934
絨緞に 鋲のひそめる ごとき日よ こころさわだつ いづこ行きても
ジュウタンニ ビョウノヒソメル ゴトキヒヨ ココロサワダツ イヅコユキテモ

『おおみや』(大宮名店会 1975.12) 60号 p.49