さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

おおみや

 
巻き貝の        いつのまに       航跡雲         ゆくりなく       
ここにゐる       ものを食む       駅までを        街灯の         
手首より        雪柳の         
 
 
 

09905
巻き貝の 芯まで今朝は 明るしと 思へることも ながく続かず
マキガイノ シンマデケサハ アカルシト オモヘルコトモ ナガクツヅカズ

『おおみや』(大宮名店会 1972.2) 37号 p.23


09906
いつのまに 小さき蜂の 数増して 白梅の花の めぐり賑はふ
イツノマニ チイサキハチノ カズマシテ シラウメノハナノ メグリニギハフ

『おおみや』(大宮名店会 1972.2) 37号 p.23


09907
航跡雲 あとかたもなく 消えてをり 思ひかくまで 澄む日のありや
コウセキウン アトカタモナク キエテヲリ オモヒカクマデ スムヒノアリヤ

『おおみや』(大宮名店会 1972.2) 37号 p.23


09908
ゆくりなく 窓に映りて わが見しは みづからの持つ 行きずりの顔
ユクリナク マドニウツリテ ワガミシハ ミヅカラノモツ ユキズリノカオ

『おおみや』(大宮名店会 1972.2) 37号 p.23


09909
ここにゐる 限りは見えて 足折れし ガラスの鹿の 再び立たず
ココニヰル カギリハミエテ アシオレシ ガラスノシカノ フタタビタタズ

『おおみや』(大宮名店会 1972.2) 37号 p.23


09910
ものを食む 現し身のふと 生臭し 灯ともりて咲く ギヤマンの花
モノヲハム ウツシミノフト ナマグサシ ヒトモリテサク ギヤマンノハナ

『おおみや』(大宮名店会 1972.2) 37号 p.23


09911
駅までを 連れだちてゐて 身の左 庇はれて歩む ことのやさしさ
エキマデヲ ツレダチテヰテ ミノヒダリ カバハレテアユム コトノヤサシサ

『おおみや』(大宮名店会 1972.2) 37号 p.23


09912
街灯の うるむ夜霧の なかを来て 鳩時計鳴るは いづこの家か
ガイトウノ ウルムヨギリノ ナカヲキテ ハトドケイナルハ イヅコノイエカ

『おおみや』(大宮名店会 1972.2) 37号 p.23


09913
手首より 襟回りより ほどかれて 混沌と積もる まだらの毛糸
テクヒヨリ エリマワリヨリ ホドカレテ コントントツモル マダラノケイト

『おおみや』(大宮名店会 1972.2) 37号 p.23


09914
雪柳の 花のこまごま 散りそめぬ 帰ることなき 犬の名を呼ぶ
ユキヤナギノ ハナノコマゴマ チリソメヌ カエルコトナキ イヌノナヲヨブ

『おおみや』(大宮名店会 1972.2) 37号 p.23