さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

おおみや

 
フラメンコの      人一人         工事場の        複製の         
方角を         バザールに       対岸の         葉脈の         
貝合はせの       いづこまで       
 
 
 

09895
フラメンコの 踊り手らしき 少女らの 過ぎて再び 落ち葉降る坂
フラメンコノ オドリテラシキ ショウジョラノ スギテフタタビ オチバフルサカ

『おおみや』(大宮名店会 1970.1) 29号 p.21


09896
人一人 忘れ得べしや 濃みどりの 服地探して 街を行く日も
ヒトヒトリ ワスレウベシヤ ノウミドリノ フクジサガシテ マチヲユクヒモ

『おおみや』(大宮名店会 1970.1) 29号 p.21


09897
工事場の かたはら過ぎて 声高に なりゐたる身を ひきもどしゆく
コウジバノ カタハラスギテ コエダカニ ナリヰタルミヲ ヒキモドシユク

『おおみや』(大宮名店会 1970.1) 29号 p.21


09898
複製の モナ・リザ仰ぎ つつ待ちて いかなる人に 会ふわれならむ
フクセイノ モナ・リザアオギ ツツマチテ イカナルヒトニ アフワレナラム

『おおみや』(大宮名店会 1970.1) 29号 p.21


09899
方角を 占はれゐる 椅子の上 まぶた閉ぢても いづこも寒し
ホウカクヲ ウラナハレヰル イスノウエ マブタシヂテモ イヅコモサムシ

『おおみや』(大宮名店会 1970.1) 29号 p.21


09900
バザールに ガラスの翼 張りゐたる 小さき天使も 運び去られぬ
バザールニ ガラスノツバサ ハリヰタル チイサキテンシモ ハコビサラレヌ

『おおみや』(大宮名店会 1970.1) 29号 p.21


09901
対岸の 暗き木の間は たれかゐて フニクラ・フニクラ 口笛に吹く
タイガンノ クラキコノマハ タレカヰテ フニクラフニクラ クチブエニフク

『おおみや』(大宮名店会 1970.1) 29号 p.21


09902
葉脈の やうに途切るる 物語 閉館を告ぐる チャイムひびきて
ヨウミャクノ ヤウニトギルル モノガタリ ヘイカンヲツグル チャイムヒビキテ

『おおみや』(大宮名店会 1970.1) 29号 p.21


09903
貝合はせの 貝もウインドウに 見えずなり わが楽しみの 一つ失ふ
カイアハセノ カイモウインドウニ ミエズナリ ワガタノシミノ ヒトツウシナフ

『おおみや』(大宮名店会 1970.1) 29号 p.21


09904
いづこまで 帰るや硝子の 指環して 夜毎のバスに 落ちあふ少女
イヅコマデ カエルヤガラスノ ユビワシテ ヨゴトノバスニ オチアフショウジョ

『おおみや』(大宮名店会 1970.1) 29号 p.21