さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

おおみや

 
ものの香の       雪の日の        伝言版の        夕焼けの        
時刻表の        霧の夜の        こだはりを       青木の実        
道に会ひ        かぶり見て       
 
 
 

09875
ものの香の まつはるごとき 日の夕べ 街へ出でゆく 用を作りて
モノノカノ マツハルゴトキ ヒノユウベ マチヘイデユク ヨウヲツクリテ

『おおみや』(大宮名店会 1968.2.15) 13号 p.46


09876
雪の日の ためのストール 選ばむに 身に添ふ色の 今は少なし
ユキノヒノ タメノストール エラバムニ ミニソフイロノ イマハスクナシ

『おおみや』(大宮名店会 1968.2.15) 13号 p.46


09877
伝言版の わが名すばやく 拭き消して 駅を出づれば 木枯らしの街
デンゴンバンノ ワガナスバヤク フキケシテ エキヲイヅレバ コガラシノマチ

『おおみや』(大宮名店会 1968.2.15) 13号 p.46


09878
夕焼けの 空より雪の 降り出でて 虹よりも遠く われをいざなふ
ユウヤケノ ソラヨリユキノ フリイデテ ニジヨリモトオク ワレヲイザナフ

『おおみや』(大宮名店会 1968.2.15) 13号 p.46


09879
時刻表の 文字板あはく ともりゐて 雪に遅れて 来る夜汽車待つ
ジコクヒョウノ モジバンアハク トモリヰテ ユキニオクレテ クルヨギシャマツ

『おおみや』(大宮名店会 1968.2.15) 13号 p.46


09880
霧の夜の 街を人らの 行き交へり 魚のごとく すれちがひつつ
キリノヨノ マチヲヒトラノ ユキカヘリ サカナノゴトク スレチガヒツツ

『おおみや』(大宮名店会 1968.2.15) 13号 p.46


09881
こだはりを 持ち歩く身と 気づきたり ポケットの右手 汗ばみてゆく
コダハリヲ モチアルクミト キヅキタリ ポケットノミギテ アセバミテユク

『おおみや』(大宮名店会 1968.2.15) 13号 p.46


09882
青木の実 葉がくれに照る ことを言ひ とりとめのなき 別れをしたり
アオキノミ ハガクレニテル コトヲイヒ トリトメノナキ ワカレヲシタリ

『おおみや』(大宮名店会 1968.2.15) 13号 p.46


09883
道に会ひ つれだちて帰る 妹の いだく荷のなか セロリが匂ふ
ミチニアヒ ツレダチテカエル イモウトノ イダクニノナカ セロリガニオフ

『おおみや』(大宮名店会 1968.2.15) 13号 p.46


09884
かぶり見て 人は買ひゆく 純白の 羽毛のそよぐ 春の帽子を
カブリミテ ヒトハカヒユク ジュンパクノ ウモウノソヨグ ハルノボウシヲ

『おおみや』(大宮名店会 1968.2.15) 13号 p.46