さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

大宮文芸

 
牧草も         クローバーの      うしろより       くくと啼き       
縫ひ針を        つながりて       軍用馬に        ぼかしたる       
幼子の         みどりごは       
 
 
 

09855
牧草も 雨に育つと 告げ来れば 牛の匂ひの ふと立つごとし
ボクソウモ アメニソダツト ツゲクレバ ウシノニオヒノ フトタツゴトシ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1992.11) 20号 p.14


09856
クローバーの 丘に少女は 連れゆきて 犬にも首輪を 編みやりしとぞ
クローバーノ オカニショウジョハ ツレユキテ イヌニモクビワヲ アミヤリシトゾ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1992.11) 20号 p.14


09857
うしろより 花の香のする 風が来て 返り咲きせる 黄の薔薇に逢ふ
ウシロヨリ ハナノカノスル カゼガキテ カエリサキセル キノバラニアフ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1992.11) 20号 p.14


09858
くくと啼き 岸に寄りくる 一列に 混じりてあらば われはどの鴨
ククトナキ キシニヨリクル イチレツニ マジリテアラバ ワレハドノカモ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1992.11) 20号 p.14


09859
縫ひ針を 撒きたるごとく 光りつつ 消えつつ稚魚は 水にちらばる
ヌヒバリヲ マキタルゴトク ヒカリツツ キエツツチギョハ ミズニチラバル

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1992.11) 20号 p.14


09860
つながりて 咲く蔓珠沙華 はればれと もう一本が 離れて咲けリ
ツナガリテ サクマンジュシャゲ ハレバレト モウイッポンガ ハナレテサケリ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1992.11) 20号 p.14


09861
軍用馬に とられむ憂ひも 今は無く 姿やさしき ジョッキーが乗る
グンヨウバニ トラレムウレヒモ イマハナク スガタヤサシキ ジョッキーガノル

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1992.11) 20号 p.14


09862
ぼかしたる 絵がこのごろは 多しとぞ 嗅げばアネモネ 生臭き花
ボカシタル エガコノゴロハ オオシトゾ カゲバアネモネ ナマグサキハナ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1992.11) 20号 p.14


09863
幼子の 描きし村は 夜に入りて どの窓も黄の あかりをともす
オサナゴノ エガキシムラハ ヨニイリテ ドノマドモキノ アカリヲトモス

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1992.11) 20号 p.14


09864
みどりごは 見えぬもの見て 泣くといふ 噴水の秀に 冬の日が差す
ミドリゴハ ミエヌモノミテ ナクトイフ フンスイノホニ フユノヒガサス

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1992.11) 20号 p.14