さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

大宮文芸

 
からくりの       面壁とは        タクシーの       自画像の        
夢に見て        幼な子の        絨緞に         春の雲の        
雨あとは        はろばろと       
 
 
 

09780
からくりの 人形は箱に しまはれて 人形もわれも くらやみのなか
カラクリノ ニンギョウハハコニ シマハレテ ニンギョウモワレモ クラヤミノナカ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1981.11) 9号 p.10


09781
面壁とは おのれに向ふ ことならむ おのれといふも 単純ならず
メンペキトハ オノレニムカフ コトナラム オノレトイフモ タンジュンナラズ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1981.11) 9号 p.10


09782
タクシーの 窓のガラスの 幅だけの 帯のやうなる 枯れ野を行けり
タクシーノ マドノガラスノ ハバダケノ オビノヤウナル カレノヲユケリ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1981.11) 9号 p.10


09783
自画像の 頬をこの夜も そぎゐつつ 極道と呼ぶ 生き方に似む
ジガゾウノ ホホヲコノヨモ ソギヰツツ ゴクドウトヨブ イキカタニニム

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1981.11) 9号 p.10


09784
夢に見て 夢と知りつつ あざむけり 欺くことの ふとこころよく
ユメニミテ ユメトシリツツ アザムケリ アザムクコトノ フトココロヨク

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1981.11) 9号 p.10


09785
幼な子の 声などしたる ことなくて 積みおく本を 見回す日あり
オサナゴノ コエナドシタル コトナクテ ツミオクホンヲ ミマワスヒアリ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1981.11) 9号 p.10


09786
絨緞に 音を吸はせて 何事を なし来し人か 歩み去りたり
ジュウタンニ オトヲスハセテ ナニゴトヲ ナシコシヒトカ アユミサリタリ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1981.11) 9号 p.10


09787
春の雲の ふくらむ見れば 錯誤さへ 身に華やげる 日のありにけり
ハルノクモノ フクラムミレバ サクゴサヘ ミニハナヤゲル ヒノアリニケリ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1981.11) 9号 p.10


09788
雨あとは 虫の祭りの 日ならむか 蛾も蝶も出でて はたはたと飛ぶ
アメアトハ ムシノマツリノ ヒナラムカ ガモチョウモイデテ ハタハタトトブ

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1981.11) 9号 p.10


09789
はろばろと 幟なびけて 虫送りの 行列などは いづち行きけむ
ハロバロト ノボリナビケテ ムシオクリノ ギョウレツナドハ イヅチユキケム

『大宮文芸』(大宮市教育委員会 1981.11) 9号 p.10