さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

小説新潮 別冊 秋季

 
四肢高き        雨乞ひの        遠くにて        ガラス戸の       
音もなく        
 
 
 

09287
四肢高き 馬のほとりに ゐし夢の 馬の数のみ 殖えてゆきたり
シシタカキ ウマノホトリニ ヰシユメノ ウマノカズノミ フエテユキタリ

『小説新潮 別冊 秋季』(新潮社 1978) p.131


09288
雨乞ひの 太鼓の音の 響きゐし 故郷はあらず どの地図見ても
アマゴヒノ タイコノオトノ ヒビキヰシ コキョウハアラズ ドノチズミテモ

『小説新潮 別冊 秋季』(新潮社 1978) p.131


09289
遠くにて サイレン鳴れり 忘れゐし 欲望を呼び 醒ますごとくに
トオクニテ サイレンナレリ ワスレヰシ ヨクボウヲヨビ サマスゴトクニ

『小説新潮 別冊 秋季』(新潮社 1978) p.131


09290
ガラス戸の 桟に足首 切られたる わが映像を 見て立ちつくす
ガラスドノ サンニアシクビ キラレタル ワガエイゾウヲ ミテタチツクス

『小説新潮 別冊 秋季』(新潮社 1978) p.131


09291
音もなく クレーンの鉤の 垂りて来て 路上の誰を 奪はむとする
オトモナク クレーンノカギノ タリテキテ ロジョウノタレヲ ウバハムトスル

『小説新潮 別冊 秋季』(新潮社 1978) p.131