さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

文芸埼玉

 
雨のなかの       デフォルメの      何を奪ふ        一列に         
石塔に         薬草園を        とりとめの       頂を          
子らが降りて      野の道は        
 
 
 

09134
雨のなかの マラソンコース 伴走の バイクぐらりと 揺れて近づく
アメノナカノ マラソンコース バンソウノ バイクグラリト ユレテチカヅク

『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1987.12) 38号 p.121


09135
デフォルメの 犬の感じに 小走りに 曳かれて行けり ダックスフント
デフォルメノ イヌノカンジニ コバシリニ ヒカレテユケリ ダックスフント

『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1987.12) 38号 p.121


09136
何を奪ふ 企みならむ エンジンを かけしまま長く 駐車してゐて
ナニヲウバフ タクラミナラム エンジンヲ カケシママナガク チュウシャシテヰテ

『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1987.12) 38号 p.121


09137
一列に 咲きそろひたる 鶏頭の 日かげの花は 黒ずみて見ゆ
イチレツニ サキソロヒタル ケイトウノ ヒカゲノハナハ クロズミテミユ

『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1987.12) 38号 p.121


09138
石塔に 刻まれて残る 文字うすく 宝暦九年は いかなる年か
セキトウニ キザマレテノコル モジウスク ホウセキキュウネンハ イカナルトシカ

『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1987.12) 38号 p.121


09139
薬草園を 出でて歩めば 思はざる 山の裾より 電車現る
ヤクソウエンヲ イデテアユメバ オモハザル ヤマノスソヨリ デンシャアラワル

『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1987.12) 38号 p.121


09140
とりとめの なき花ながら 藤ばかま 束ねて色の やや濃くなりぬ
トリトメノ ナキハナナガラ フジバカマ タバネテイロノ ヤヤコクナリヌ

『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1987.12) 38号 p.121


09141
頂を いつまでも見せぬ 山一つ 山の形は われの目が知る
イタダキヲ イツマデモミセヌ ヤマヒトツ ヤマノカタチハ ワレノメガシル

『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1987.12) 38号 p.121


09142
子らが降りて しづかになれば 喘鳴を かすかに引けり 隣の人は
コラガオリテ シヅカニナレバ ゼンメイヲ カスカニヒケリ トナリノヒトハ

『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1987.12) 38号 p.121


09143
野の道は 下りとなりぬ 果物の 熟るる匂ひを かそかに嗅ぎて
ノノミチハ クダリトナリヌ クダモノノ ウルルニオヒヲ カソカニカギテ

『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会 1987.12) 38号 p.121