さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

短歌公論

 
葉桜の         暖色の         桃いろの        沐浴を         
近道を         来む春も        フィナーレに      
 
 
 

08987
葉桜の 吉野の山を 訪ひしとぞ 甘味の葛を 送りたまひぬ
ハザクラノ ヨシノノヤマヲ トヒシトゾ カンミノクズヲ オクリタマヒヌ

『短歌公論』(短歌公論社 1989.11.1) p.3


08988
暖色の 傘を選びて 差し来しが 無言の犬に 見られて通る
ダンショクノ カサヲエラビテ サシコシガ ムゴンノイヌニ ミラレテトオル

『短歌公論』(短歌公論社 1989.11.1) p.3


08989
桃いろの ヘアピンレース さながらに 路上に合歓の 花は濡れゐつ
モモイロノ ヘアピンレース サナガラニ ロジョウニネムノ ハナハヌレヰツ

『短歌公論』(短歌公論社 1989.11.1) p.3


08990
沐浴を すませて匂ふ 女童(めわらは)が 隣にゐたる 日のある如し
モクヨクヲ スマセテニオフ メワラハガ トナリニヰタル ヒノアルゴトシ

『短歌公論』(短歌公論社 1989.11.1) p.3


08991
近道を 教へて電話 切りにしが 迷ひてゐずや 竹の落ち葉に
チカミチヲ オシヘテデンワ キリニシガ マヨヒテヰズヤ タケノオチバニ

『短歌公論』(短歌公論社 1989.11.1) p.3


08992
来む春も 必ず生きて 夜桜を 見むと人にも 今日は言ひたり
コムハルモ カナラズイキテ ヨザクラヲ ミムトヒトニモ キョウハイヒタリ

『短歌公論』(短歌公論社 1989.11.1) p.3


08993
フィナーレに 近づかむとし 早まりて 一個あがれる 風船赤し
フィナーレニ チカヅカムトシ ハヤマリテ イッコアガレル フウセンアカシ

『短歌公論』(短歌公論社 1989.11.1) p.3