さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

短歌公論

 
影のやうな       待つこころ       知り得たる       打たむとし       
帰らむと        やみがたく       われの手に       ジヤケツトの      
 
 
 

08945
影のやうな こだまのやうな われとなり 散らばりやすし 噴水の穂は
カゲノヤウナ コダマノヤウナ ワレトナリ チラバリヤスシ フンスイノホハ

『短歌公論』(短歌公論社 1970.9.25) 27号 p.1


08946
待つこころ ふと遠のきて 籐椅子に 置ける団扇の かたちがやさし
マツココロ フトトオノキテ トウイスニ オケルウチワノ カタチガヤサシ

『短歌公論』(短歌公論社 1970.9.25) 27号 p.1


08947
知り得たる ことのわが身に 傷なすを 芝生にそそぐ しろがねの雨
シリエタル コトノワガミニ キズナスヲ シバフニソソグ シロガネノアメ

『短歌公論』(短歌公論社 1970.9.25) 27号 p.1


08948
打たむとし 大き平手を 人は挙ぐ すばやくわれの 去りし画面に
ウタムトシ オオキヒラテヲ ヒトハアグ スバヤクワレノ サリシガメンニ

『短歌公論』(短歌公論社 1970.9.25) 27号 p.1


08949
帰らむと いふをふたたび 坐らしむ 容易にやまぬ 雨と知りつつ
カエラムト イフヲフタタビ スワラシム ヨウイニヤマヌ アメトシリツツ

『短歌公論』(短歌公論社 1970.9.25) 27号 p.1


08950
やみがたく くだりゆきては 灯をともし モルグの如き 地下室の書庫
ヤミガタク クダリユキテハ ヒヲトモシ モルグノゴトキ チカシツノショコ

『短歌公論』(短歌公論社 1970.9.25) 27号 p.1


08951
われの手に 葬りし人の 数知れず 海芋の白は 喪の花のいろ
ワレノテニ ホウムリシヒトノ カズシレズ カイウノシロハ モノハナノイロ

『短歌公論』(短歌公論社 1970.9.25) 27号 p.1


08952
ジヤケツトの ダミアの顔と 気づくまで 目をこらしゐて 闇の深さよ
ジヤケツトノ ダミアノカオト キヅクマデ メヲコラシヰテ ヤミノフカサヨ

『短歌公論』(短歌公論社 1970.9.25) 27号 p.1