さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

短歌新聞

 
やみがたく       降りやまぬ       草食獣の        傍観して        
砂を嚙む        新しき         継ぎ足しの       駅前の         
山ひだの        風呂敷の        詫びたくて       クッキーの       
奪ひしは        乗り継ぎを       エッグノックに     
 
 
 

08866
やみがたく 一夜一夜を 目盛りとし はるかに人を 置きて来りぬ
ヤミガタク イチヤイチヤヲ メモノトシ ハルカニヒトヲ オキテキタリヌ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.


08867
降りやまぬ 雪を見をれば 逃げ道を ふさがれてしまふ けものもあらむ
フリヤマヌ ユキヲミヲレバ ニゲミチヲ フサガレテシマフ ケモノモアラム

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.


08868
草食獣の 鹿さへ原を 追はるると 読みてよりはかどる 仕事の如し
ソウショクジュウノ シカサヘハラヲ オハルルト ヨミテヨリハカドル シゴトノゴトシ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.


08869
傍観して をれずに言へば わが肩に かかり来む荷の まざまざと見ゆ
ボウカンシテ ヲレズニイヘバ ワガカタニ カカリコムニノ マザマザトミユ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.


08870
砂を嚙む 一日なりしが 帰る雲 往く雲もみな 茜に染まる
スナヲカム イチニチナリシガ カエルクモ ユククモモミナ アカネニソマル

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.


08871
新しき 家といふとも 夜に帰り 鍵穴をさぐる 思ひかはらぬ
アタラシキ イエトイフトモ ヨニカエル カギアナヲサグル オモヒカハラヌ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.


08872
継ぎ足しの 歩廊の下の 赤土に 霜光る見ゆ 日の昇り来て
ツギタシノ ホロウノシタノ アカツチニ シモヒカルミユ ヒノノボリキテ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.


08873
駅前の 広場にあがる 噴水の 穂と気づく間に 電車は発ちぬ
エキマエノ ヒロバニアガル フンスイノ ホトキヅクマニ デンシャハタチヌ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.


08874
山ひだの 雪の黄いろに かげる日は 寒しと思ふ 朝々に見て
ヤマヒダノ ユキノキイロニ カゲルヒハ サムシトオモフ アサアサニミテ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.


08875
風呂敷の 紺にくるまれ 鳥籠の かたちのままを 運び去られつ
フロシキノ コンニクルマレ トリカゴノ カタチノママヲ ハコビサラレツ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.


08876
詫びたくて 訪ね来しかと 思ひたる われをやさしむ 帰られてのち
ワビタクテ タズネコシカト オモヒタル ワレヲヤサシム カエラレテノチ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.


08877
クッキーの 形抜きをれば 花びらも 星のかちも 美しからず
クッキーノ カタヌキヲレバ ハナビラモ ホシノカタチモ ウツクシカラズ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.


08878
奪ひしは われにあらずと 言ひ張りて 夢にも告げず 人の名などは
ウバヒシハ ワレニアラズト イヒハリテ ユメニモツゲズ ヒトノナナドハ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.


08879
乗り継ぎを 時刻表に調べ ゐたりしが 岬々に 夜をわが遊ぶ
ノリツギヲ ジコクヒョウニシラベ ヰタリシガ ミサキミサキニ ヨヲワガアソブ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.


08880
エッグノックに 酔ひしは昨夜 すきとほる 元のグラスに 戻して蔵ふ
エッグノックニ ヨヒシハサクヤ スキトホル モトノグラスニ モドシテシマフ

『短歌新聞』(短歌新聞社 1978.2.10) p.