さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

短歌往来

 
集まりて        アイリスを       読みさしを       路面より        
品触れの        簪の          夜の道に        
 
 
 

08747
集まりて 降るにもあらぬ 梅雨の雨 ひとすぢひとすぢ 迷はずに落つ
アツマリテ フルニモアラヌ ツユノアメ ヒトスヂヒトスヂ マヨハズニオツ

『短歌往来』(ながらみ書房 1989.7) 第1巻2号 p.18


08748
アイリスを 活け替へをれば 賜はりし いとまと思ふ までに癒えきぬ
アイリスヲ イケカヘヲレバ タマハリシ イトマトオモフ マデニイエキヌ

『短歌往来』(ながらみ書房 1989.7) 第1巻2号 p.18


08749
読みさしを 机に伏せて 出で来しが 迎への舟の 待つにもあらぬ
ヨミサシヲ ツクエニフセテ イデコシガ ムカヘノフネノ マツニモアラヌ

『短歌往来』(ながらみ書房 1989.7) 第1巻2号 p.18


08750
路面より やや浮き立ちて 夏草の 短き橋は かかりゐにけり
ロメンヨリ ヤヤウキタチテ ナツクサノ ミジカキハシハ カカリヰニケリ

『短歌往来』(ながらみ書房 1989.7) 第1巻2号 p.18


08751
品触れの 珊瑚の如く かがよひて 尾を垂らしゐる かんざし一つ
シナブレノ サンゴノゴトク カガヨヒテ オヲタラシヰル カンザシヒトツ

『短歌往来』(ながらみ書房 1989.7) 第1巻2号 p.18


08752
簪の 占ひといふが ありにしが なにゆゑ偶数を 凶としにけむ
カンザシノ ウラナヒトイフガ アリニシガ ナニユヱグウスウヲ キョウトシニケム

『短歌往来』(ながらみ書房 1989.7) 第1巻2号 p.18


08753
夜の道に 投げ出されたる 洋傘に 降りゐし雪は 今も目に見ゆ
ヨノミチニ ナゲダサレタル カウモリニ フリヰシユキハ イマモメニミユ

『短歌往来』(ながらみ書房 1989.7) 第1巻2号 p.18