さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

短歌現代

 
裁ち屑を        夢に来て        働きて         珊瑚樹の        
見舞ひたる       日のさして       杉山の         暮れあひの       
雪の日の        亡き人を        
 
 
 

08536
裁ち屑を 掃きよせをれば ひとかたに 集まるごとし われの思ひも
タチクズヲ ハキヨセヲレバ ヒトカタニ アツマルゴトシ ワレノオモヒモ

『短歌現代』(短歌新聞社 1981.5) 第5巻5号 p.20


08537
夢に来て つくづくとものを 言ひゆけり 病の篤き 人かと思ふ
ユメニキテ ツクヅクトモノヲ イヒユケリ ヤマイノアツキ ヒトカトオモフ

『短歌現代』(短歌新聞社 1981.5) 第5巻5号 p.20


08538
働きて 狭く生きつつ 死に顔に 知れるのみなる おもかげ幾つ
ハタラキテ セマクイキツツ シニガオニ シレルノミナル オモカゲイクツ

『短歌現代』(短歌新聞社 1981.5) 第5巻5号 p.20


08539
珊瑚樹の 垣の内より 声のして 幼き者ら 何を争ふ
サンゴジュノ カキノウチヨリ コエノシテ オサナキモノラ ナニヲアラソフ

『短歌現代』(短歌新聞社 1981.5) 第5巻5号 p.20


08540
見舞ひたる こころも知らず 戦場に 散ればよかりし などと言ふなり
ミマヒタル ココロモシラズ センジョウニ チレバヨカリシ ナドトイフナリ

『短歌現代』(短歌新聞社 1981.5) 第5巻5号 p.21


08541
日のさして 明るき刈り田 一対の 電線ありて 麓をめぐる
ヒノサシテ アカルキカリタ イッイツノ デンセンアリテ フモトヲメグル

『短歌現代』(短歌新聞社 1981.5) 第5巻5号 p.21


08542
杉山の 芽ぶきのときを 立ちこめて 雄のけものの 匂ひと思ふ
スギヤマノ メブキノトキヲ タチコメテ オスノケモノノ ニオヒトオモフ

『短歌現代』(短歌新聞社 1981.5) 第5巻5号 p.21


08543
暮れあひの 空より雪は 舞ひ出でて 背後を見せぬ ビル立ち並ぶ
クレアヒノ ソラヨリユキハ マヒイデテ ハイゴヲミセヌ ビルタチナラブ

『短歌現代』(短歌新聞社 1981.5) 第5巻5号 p.21


08544
雪の日の 静かなる街 つぎつぎに 畳まれてゆく 傘を見てゐし
ユキノヒノ シズカナルマチ ツギツギニ タタマレテユク カサヲミテヰシ

『短歌現代』(短歌新聞社 1981.5) 第5巻5号 p.21


08545
亡き人を ふやしつつ来て いつとなく たのまずなりぬ 後生のことも
ナキヒトヲ フヤシツツキテ イツトナク タノマズナリヌ ゴシヤウノコトモ

『短歌現代』(短歌新聞社 1981.5) 第5巻5号 p.21