さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

短歌

 
多年草の        じつとして       手に負へぬ       おのづから       
出でて行く       カウンターに      時ならず        見しことを       
騒立てる        塩分を         おとなびて       今使ふ         
ものおとに       身にかなふ       
 
 
 

08394
多年草の 黄菊うらうら 照れれども 来年の秋は いかになりゐむ
タネンソウノ キギクウラウラ テレレドモ ライネンノアキハ イカニナリヰム

『短歌』(角川書店 1989.2) 第36巻2号 p.20


08395
じつとして 沈める緋鯉 堪へ切れず 動くと如く 身をよぢりたり
ジツトシテ シズメルヒゴイ タヘキレズ ウゴクトゴトク ミヲヨヂリタリ

『短歌』(角川書店 1989.2) 第36巻2号 p.20


08396
手に負へぬ 荷物となりぬ 自然薯の 異形を入れし 紙の袋は
テニオヘヌ ニモツトナリヌ ジネンジョノ イギョウヲイレシ カミノフクロハ

『短歌』(角川書店 1989.2) 第36巻2号 p.21


08397
おのづから 意識遠のき 豆電球の ごとくになりて しまふときあり
オノヅカラ イシキトオノキ マメデンキュウノ ゴトクニナリテ シマフトキアリ

『短歌』(角川書店 1989.2) 第36巻2号 p.21


08398
出でて行く 農園があるに あらねども 百米までといふ コードレス電話
イデテユク ノウエンガアルニ アラネドモ ヒャクメートルマデトイフ コードレスデンワ

『短歌』(角川書店 1989.2) 第36巻2号 p.21


08399
カウンターに 残りてゐたる 風船の 空いろ二本も 貰はれゆけり
カウンターニ ノコリテヰタル フウセンノ ソライロニホンモ モラハレユケリ

『短歌』(角川書店 1989.2) 第36巻2号 p.21


08400
時ならず 別離の言葉 叫びたる 籠の鸚鵡は みじろがずゐる
トキナラズ ベツリノコトバ サケビタル カゴノオウムハ ミジロガズヰル

『短歌』(角川書店 1989.2) 第36巻2号 p.22


08401
見しことを 見しと告げずに おくことも 三人相持つ 罪のごとしも
ミシコトヲ ミシトツゲズニ オクコトモ ミタリアイモツ ツミノゴトシモ

『短歌』(角川書店 1989.2) 第36巻2号 p.22


08402
騒立てる 日々なりにしが 川岸の 学校園は 枯れ草の藪
サワダテル ヒビナリニシガ カワギシノ ガッコウエンハ カレクサノヤブ

『短歌』(角川書店 1989.2) 第36巻2号 p.22


08403
塩分を 除かば無限に 水はありと 幼くて何を 思ひ詰めけむ
エンブンヲ ノゾカバムゲンニ ミズハアリト オサナクテナニヲ オモヒツメケム

『短歌』(角川書店 1989.2) 第36巻2号 p.22


08404
おとなびて やさしかりしよ メリンスより 銘仙に移りし 元禄の袖
オトナビテ ヤサシカリシヨ メリンスヨリ メイセンニウツリシ ゲンロクノソデ

『短歌』(角川書店 1989.2) 第36巻2号 p.23


08405
今使ふ 錐にあらねど 目の前に 見当たらざれば おちつかずなる
イマツカフ キリニアラネド メノマエニ ミアタラザレバ オチツカズナル

『短歌』(角川書店 1989.2) 第36巻2号 p.23


08406
ものおとに さときも病の ゆゑといふ いずこ踏切の 音する夜あり
モノオトニ サトキモヤマイノ ユヱトイフ イズコフミキリノ オトスルヨアリ

『短歌』(角川書店 1989.2) 第36巻2号 p.23


08407
身にかなふ 労働量を 限られて とりとめもなく 年越さむとす
ミニカナフ ロウドウリョウヲ カギラレテ トリトメモナク トシコサムトス

『短歌』(角川書店 1989.2) 第36巻2号 p.23