さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

短歌

 
風のごと        風のなき        鐵線の         蕩搖を         
夕顔の         押し寄せて       洗濯機も        伏字とれて       
蕁麻に         いづくにか       
 
 
 

07488
風のごと 貨車過ぎゆきし 野のかなた くらき木立も 星かげまとふ
カゼノゴト カシャスギユキシ ノノカナタ クラキコダチモ ホシカゲマトフ

『短歌』(角川書店 1958.7) 第5巻7号(通巻55号) p.65


07489
風のなき 夜にて無聊に 葉を垂るる 棕櫚の樹も闇に 置きて眠りつ
カゼノナキ ヨニテムリョウニ ハヲタルル シュロノキモヤミニ オキテネムリツ

『短歌』(角川書店 1958.7) 第5巻7号(通巻55号) p.65


07490
鐵線の 花一つづつ かき消えて 醒めし夢如何に 卜部は解かむ
テッセンノ ハナヒトツヅツ カキキエテ サメシユメイカニ ウラベハトカム

『短歌』(角川書店 1958.7) 第5巻7号(通巻55号) p.65


07491
蕩搖を こばまぬ水に おとす影 根もとの紅き 菜を洗ひゐて
トウヨウヲ コバマヌミズニ オトスカゲ ネモトノアカキ ナヲアラヒヰテ

『短歌』(角川書店 1958.7) 第5巻7号(通巻55号) p.65


07492
夕顔の 苗を植ゑつつ 身の背後 あざむかれゐる ごときしづけさ
ユウガオノ ナエヲウヱツツ ミノハイゴ アザムカレヰル ゴトキシヅケサ

『短歌』(角川書店 1958.7) 第5巻7号(通巻55号) p.65


07493
押し寄せて 來む仕事あり フェルトの 造花つなぐ一日を 緩衝として
オシヨセテ コムシゴトアリ フェルトノ ゾウカツナグヒトヒヲ カンショウトシテ

『短歌』(角川書店 1958.7) 第5巻7号(通巻55号) p.65


07494
洗濯機も 買ひ替へて夏と なる職場 一人は庭に 賣子木の花掃く
センタクキモ カヒカヘテナツト ナルショクバ ヒトリハニワニ エゴノハナハク

『短歌』(角川書店 1958.7) 第5巻7号(通巻55号) p.65


07495
伏字とれて 戻り來し校正刷 見直すと 散らばれるわが 五體あつまる
フセジトレテ モドリコシゲラ ミナオスト チラバレルワガ ゴタイアツマル

『短歌』(角川書店 1958.7) 第5巻7号(通巻55号) p.65


07496
蕁麻に 觸れし痺れの 殘りゐて 脅かされむ また沼の夢に
イラクサニ フレシシビレノ ノコリヰテ オビヤカサレム マタヌマノユメ

『短歌』(角川書店 1958.7) 第5巻7号(通巻55号) p.65


07497
いづくにか ひとりでに開く 窓あるや 闇のなかにも 花の香うごく
イヅクニカ ヒトリデニヒラク マドアルヤ ヤミノナカニモ ハナノカウゴク

『短歌』(角川書店 1958.7) 第5巻7号(通巻55号) p.65