さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

形成

 
今度来る        足どりの        沖に出でて       警戒の         
朝鮮語を        朝鮮語と        日本人には       暗号の         
韓国より        
 
 
 

05321
今度来る までに紫苑も 咲かむと言ふ 母を裏庭に 残して帰る
コンドクル マデニシオンモ サカムトイフ ハハヲウラニワニ ノコシテカエル

『形成』(形成発行所 1956.12) 第4巻12号(通巻44号) p.5


05322
足どりの 乱れて歩み ゐしわれが 追ひ抜きざまに 人の振り向く
アシドリノ ミダレテアユミ ヰシワレガ オヒヌキザマニ ヒトノフリムク

『形成』(形成発行所 1956.12) 第4巻12号(通巻44号) p.5


05323
沖に出でて いつぱいに風 はらむ帆よ 遠くより見れば ただに静けし
オキニイデテ イツパイニカゼ ハラムホヨ トオクヨリミレバ タダニシズケシ

『形成』(形成発行所 1956.12) 第4巻12号(通巻44号) p.5


05324
警戒の 私服に答ふる 朝鮮訛り 若き女の 声にてやさし
ケイカイノ シフクニコタフル チョウセンナマリ ワカキオンナノ コエニテヤサシ

『形成』(形成発行所 1956.12) 第4巻12号(通巻44号) p.5


05325
朝鮮語を まじへて語る 警官に なみゐる君ら つられて笑ふ
チョウセンゴヲ マジヘテカタル ケイカンニ ナミヰルキミラ ツラレテワラフ

『形成』(形成発行所 1956.12) 第4巻12号(通巻44号) p.5


05326
朝鮮語と 日本語たくみに 使ひ分け 鋭く光る 目を持つひとり
チョウセンゴト ニホンゴタクミニ ツカヒワケ スルドクヒカル メヲモツヒトリ

『形成』(形成発行所 1956.12) 第4巻12号(通巻44号) p.5


05327
日本人には 出来ぬ仕事を して富むと 言ひ放つ朝鮮 訛りあらはに
ニホンジンニハ デキヌシゴトヲ シテトムト イヒハナツチョウセン ナマリアラハニ

『形成』(形成発行所 1956.12) 第4巻12号(通巻44号) p.5


05328
暗号の やうに朝鮮語を まじへたり 一人にて訪ひ来る 日の君に似ず
アンゴウノ ヤウニチョウセンゴヲ マジヘタリ ヒトリニテトヒクル ヒノキミニニズ

『形成』(形成発行所 1956.12) 第4巻12号(通巻44号) p.5


05329
韓国より 帰化せし君らと 川をへだて 住みゐて互みに 呼ぶこともなし
カンコクヨリ キカセシキミラト カワヲヘダテ スミヰテカタミニ ヨブコトモナシ

『形成』(形成発行所 1956.12) 第4巻12号(通巻44号) p.5