さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

形成

 
苦しみて        小さき祠を       曇りつつ        心渇くとも       
孤独にゐて       秘めて来し       累ね来し        手は何に        
告げ難き        
 
 
 

05032
苦しみて 積み重ね来しは ただ砂礫の 如きかと旅寝の 夜半にし思ふ
クルシミテ ツミカサネコシハ タダサレキノ ゴトキカトタビネノ ヨワニシオモフ

『形成』(形成発行所 1954.9) 第2巻9号(通巻17号) p.7


05033
小さき祠を まつれる丘の 朝ぐもり 牛使ひつつ 人の耕す
チサキホコラニ マツレルオカノ アサグモリ ウシツカヒツツ ヒトノタガヤス

『形成』(形成発行所 1954.9) 第2巻9号(通巻17号) p.7


05034
曇りつつ 明るき芝生 メンバーの 揃はぬ野球を 子らは続くる
クモリツツ アカルキシバフ メンバーノ ソロハヌヤキュウヲ コラハツヅクル

『形成』(形成発行所 1954.9) 第2巻9号(通巻17号) p.7


05035
心渇くとも みづから癒やす 外はなし 夜半の水道は 飛沫をあぐる
ココロカワクトモ ミヅカライヤス ホカハナシ ヨワノスイドウハ ヒマツヲアグル

『形成』(形成発行所 1954.9) 第2巻9号(通巻17号) p.7


05036
孤独にゐて 人を恕すことも 易からず 又堰を切りて 悲しみは来る
コドクニヰテ ヒトヲユルスコトモ ヤスカラズ マタセキヲキリテ カナシミハクル

『形成』(形成発行所 1954.9) 第2巻9号(通巻17号) p.7


05037
秘めて来し 被虐の過程を あばくごと 当なき手記を 夜々綴りゆく
ヒメテコシ ヒギャクノカテイヲ アバクゴト アテナキシュキヲ ヨヨツヅリユク

『形成』(形成発行所 1954.9) 第2巻9号(通巻17号) p.7


05038
累ね来し 錯誤と思へど その過去に 規制されゆく 未来と知れり
カサネコシ サクゴトオモヘド ソノカコニ キセイサレユク ミライトシレリ

『形成』(形成発行所 1954.9) 第2巻9号(通巻17号) p.7


05039
手は何に さしのべむ如何に 描くとも 茫々と寂し わが未来像
テハナニニ サシノベムイカニ エガクトモ ボウボウトサビシ ワガミライゾウ

『形成』(形成発行所 1954.9) 第2巻9号(通巻17号) p.7


05040
告げ難き 悲しみ持つと 知る母か 薔薇切りて駅まで 見送りくれぬ
ツゲガタキ カナシミモツト シルハハカ バラキリテエキマデ ミオクリクレヌ

『形成』(形成発行所 1954.9) 第2巻9号(通巻17号) p.7