さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―

全短歌(10824首)

全短歌(歌集等)

形成

 
子は鎹         一気に坂を       別れ住むと       おのづから       
代り得る        頭の皮膚の       障壁もつ        アルバイトより     
俄かに胸に       背高き         
 
 
 

05022
子は鎹 など言ひ合ひて 子無き我の 別れ住めるを 人のはかなむ
コハカスガヒ ナドイヒアヒテ コナキワレノ ワカレスメルヲ ヒトノハカナム

『形成』(形成発行所 1954.8) 第2巻8号(通巻16号) p.9


05023
一気に坂を 駆け下りる如き その末路を 思へば君も 寂しき一人
イッキニサカヲ カケオリルゴトキ ソノマツロヲ オモヘバキミモ サビシキヒトリ

『形成』(形成発行所 1954.8) 第2巻8号(通巻16号) p.9


05024
別れ住むと 知らず来し君が 教へ子ら 九時まで待たせて 帰しやりたり
ワカレスムト シラズコシキミガ オシヘゴラ クジマデマタセテ カエシヤリタリ

『形成』(形成発行所 1954.8) 第2巻8号(通巻16号) p.9


05025
おのづから 守勢に立てる 如き一日 押し黙り原稿を 割付けてゆく
オノヅカラ シュセイニタテル ゴトキヒトヒ オシダマリゲンコウヲ ワリツケテユク

『形成』(形成発行所 1954.8) 第2巻8号(通巻16号) p.9


05026
代り得る 人無しと言はれ 慰むや 又一年編集を 続けねばならぬ
カワリウル ヒトナシトイハレ ナグサムヤ マタイチネンヘンショウヲ ツヅケネバナラヌ

『形成』(形成発行所 1954.8) 第2巻8号(通巻16号) p.9


05027
頭の皮膚の 痛み来れば 鬢どめを 外しつつ要点 速記を続く
アタマノヒフノ イタミキタレバ ビンドメヲ ハズシツツヨウテン ソッキヲツヅク

『形成』(形成発行所 1954.8) 第2巻8号(通巻16号) p.9


05028
障壁もつ 事も編集の 責を担ふ 証左ぞと自らに 諭す日があり
ショウヘキモツ コトモヘンシュウノ セメヲニナフ ショウサゾトミズカラニ サトスヒガアリ

『形成』(形成発行所 1954.8) 第2巻8号(通巻16号) p.9


05029
アルバイトより 帰れる妹 フランス語の 動詞変化を 誦しゐるけはひ
アルバイトヨリ カエレルイモウト フランスゴノ ドウシヘンカヲ ズシヰルケハヒ

『形成』(形成発行所 1954.8) 第2巻8号(通巻16号) p.9


05030
俄かに胸に 火点きし如く 夜更かして 論拠となさむ 章句書き抜く
ニワカニムネニ ヒツキシゴトク ヨフカシテ ロンキョトナサム ショウクカキヌク

『形成』(形成発行所 1954.8) 第2巻8号(通巻16号) p.9


05031
背高き 妹に似合ふや 仮縫ひ終へし 水色のドレスを たたみ眠らむ
セイタカキ イモウトニニアフヤ カリヌヒオヘシ ミズイロノドレスヲ タタミネムラム

『形成』(形成発行所 1954.8) 第2巻8号(通巻16号) p.9